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2017年05月31日

あなたの疑問を解決!よくニュースで聞く経済効果って何?

 

サマリー

・経済効果は新しい需要が各産業に与える影響を金額で表す

・経済効果は産業連関表を用いて計算できる

・ただし、その計算結果には計算主体の恣意的な思惑が少なからずあることに注意が必要

 

「君の名は。」経済効果は500億円!?

「君の名は。」は2016/8/26に公開されて以来、9月23日現在、大ヒット上映中、興行収入60億円を突破したアニメーション映画です。監督はポスト宮崎駿との呼び声も高い新海誠監督がつとめ、劇中歌をRADWIMPSが担当していることでも有名です。管理人も連日のニュースを見て、観に行きましたが前評判を超えるくらい面白かったです。まだ観てない方はぜひ劇場に足を運んでみて下さい。

 

よくニュースなどで耳にする”経済効果”ですが、この”経済効果”とはいったい何なのでしょうか。今回は普段テレビなどで何気なく耳にする”経済効果”の持つ意味を解説したいと思います。

 

 

経済効果とは

経済効果とは、ある産業で需要が増えたことでそれに伴う生産の増加と、それに関連する産業の生産増加も含めて金額で表すことをいいます。さらに、雇用者の所得が増えたことによる消費関連産業の増加も含めることができます。

例えば、自動車産業に新しく需要が生じたとします。自動車を生産するためには車体やエンジン、タイヤ、窓ガラス、座席など様々なものが必要になります。そして、それらを生産するための原材料産業も生産が増加します。車体を作るには鉄鋼が必要ですし、タイヤを作るためにはゴムが必要というようにです。このように、はじめの需要を満たすための生産の増加を「第一次波及効果」といいます。

また、これらの産業で生産が増加したことにより、雇用者の所得が増加します。そのため、衣服や食料など自動車とは直接関係のない消費関連産業でも新たな需要が発生し生産が増えることになります。これを「第二次波及効果」といいます。

 

このように新たな需要が生まれたことにより、その影響が順々に伝播していくことを経済効果と呼び金額で評価します。実際に計算するにあたっては産業連関表と呼ばれる統計表を用います。

 

 

産業連関表とは

産業連関表とは、一定期間(通常1年間)において、財・サービスが各産業部門間でどのように生産され、販売されたかについて、行列の形で一覧表にとりまとめたものです。

ある1つの産業では他の産業から原材料等を購入し、加工を行い新しい財を生産し、それを別の産業に販売します。そして、購入した産業はそれをもとに加工を行い、また別の財を生産します。

このように財の「購入→生産→販売」という連鎖的なつながりを表したのが産業連関表です。日本では各府省庁共同で5年ごとに作成しています。

産業関連表

 

図1 産業連関表の構造(総務省HPより)において、需要部門の列を縦に見ていくと、どこから原材料を仕入れてどこに人件費がかかっているといった事が分かります。また、供給部門の行を横に見ていくとどこに供給したかが分かります。中間需要となっている分は原材料として他産業に販売した分です。

また、ある産業の需要が増えた際にそのほかの産業に対してどれだけの波及効果があるのかは「逆行列係数表」としてまとめられています。これを用いてある産業が他の産業に与える影響を判断することができます。

興味がある方は総務省HPで経済波及効果をシミュレーションすることができますので試してみて下さい。

 → http://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/data/io/hakyu.htm

 

 

経済効果の注意点

これまで見てきた通り、経済効果は産業連関表を用いて計算できることが分かりました。しかし、波及効果をどこまで含めるのかといったように、計算方法にはあいまいな部分も多いのも事実です。

そのため、計算結果には計算主体の恣意的な思惑が少なからずあるということを認識しておかなければなりません。同じ事象に対しての経済効果も計算主体によって違ってくるのです。

下図は東京オリンピックの経済効果を試算した例です(てれとマートより)。

東京オリンピック経済効果

 

このように、経済効果は最大で約50倍もの開きがあり、全く異なったものになっています。発表された数字をそのまま鵜呑みにするのは気を付けたほうがいいでしょう。

では、まったく意味がないかというともちろんそんなこともありません。経済効果は100%正確という訳ではないですが、ある需要が与える影響をおおまかに把握できることは間違いないです。あくまで目安として考えることが重要です。

 

 

まとめ

経済効果で示される数字は、計算によって導き出された数字で不確かな部分も含む数字であることが分かりました。投資の世界でも数字は良く出てきますが、例えば、その利益率は確かな数字なのか、来年も実現できるのか、何を根拠にした数字なのか、数字の意味を考えることがとても重要です。しかし、「君の名は。」面白かったな~

 

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片桐 峻

投資家、ファンドマネージャー。
日本にいる時は、時間を見つけてブログの読者さんとお茶しています。
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