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2016年11月01日

非上場企業に投資する「プライベートエクイティ」とは何か

 

サマリー

・プライベートエクイティ(PE)とはオルタナティブ投資の一つであり、「非上場企業への投資」を意味する

・主にベンチャーキャピタル投資、バイアウト投資、ディストレスト投資、セカンダリー投資の4つに分類される

・ブラックストーン、カーライル、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の「世界3大PEファンド」が有名

 

 

プライベートエクイティとは?

プライベートエクイティ(Private Equity: PE)とはヘッジファンドなどと並ぶオルタナティブ投資(株式・債券など伝統的な資産運用に代わる投資)の一つであり、広義には「非上場企業への投資」を意味します。

PE投資は、主に以下の4つに分類されます。

 

1.ベンチャーキャピタル投資

ベンチャーキャピタル投資とは、主に新興企業に対する出資・支援を行う投資手法をいいます。非上場企業のうち、創業期のベンチャー企業に注目した戦略といえます。

関連記事:実はよく知らない「ベンチャーキャピタル」の基礎知識

 

2.バイアウト投資

投資先企業を買収して経営権を取得し、企業価値を高めた上で売却する投資手法をいいます。会社の経営陣が外部の投資ファンドなどと共に自社を買収するMBOや、買収資金の一部を銀行から借入れするなどして企業買収を行うLBOなどの手法があります。

 

3.ディストレスト投資

経営不振企業の債権等を安く買い、経営再建を行うことで企業価値を回復させる投資手法をいいます。主に企業のリストラクチャリング(再構築)などを行う事業再生ファンドや、不良債権処理ファンドに用いられる手法です。

 

4.セカンダリー投資

既に発行されている非上場株式等を取得することで、非上場企業の株主などに対する流動性の供給や資本構成の再編成を行い、その取得した株式等を売却するなどして投資回収を行う手法です。

 

 

PE投資は、投資家や非上場企業の株主・経営陣などの多様なニーズに対応するために行われています。例えば、通常の上場株式等とは全く異なる収益源として、投資家はPEファンドを投資先に選択することができます。また、非上場企業の株主などは、PEファンドに保有株式を売却して容易に現金化するメリットを受けることができます。

以上のようなPE投資を手掛けるヘッジファンドには世界的に有名なものが多数あり、特にブラックストーン、カーライル、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の3つが「世界3大PEファンド」として知られています。

 

 

世界有数のPEファンド、ブラックストーン・グループ

「世界3大PEファンド」の一つであるブラックストーン・グループは、運用資産3,100億ドルを誇る世界最大規模の投資ファンドです。この運用資産のうち、PE投資は約15%を占めると言われています。

ここからは、ブラックストーン・グループがかつて行ったPE投資の事例を見てみましょう。

 

TRWオートモーティブ・ホールディングスの事例

TRWオートモーティブは世界有数の米国自動車部品メーカーでしたが、2002年、ブラックストーンによって約47億ドルで買収されました。そして、2014年、ブラックストーンはドイツに本拠を置く自動車部品メーカーZFに対して、TRWオートモーティブを120億ドル以上の金額で売却することに成功します。

この売却により、世界第3位の自動車部品メーカーが誕生するに至りました。当時、ZFとTRWを合わせた年間売上額は400億ドル以上に達し、従業員数も世界全体で約13万8,000人にも上っています。

このような大型買収の事例を見ても、PEファンドとしてのブラックストーンの影響力の大きさがよくわかるといえます。

 

ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスの事例

2007年、ブラックストーンは、世界最大のホテル運営会社ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスを250億ドルで買収しました。2000年以降、ヒルトンは競争力の低下により経営状態が悪化していたため、ブラックストーンによる買収と株式の非公開化を通じて経営再建が進められる予定でした。

しかし、ブラックストーンによる買収後、2008年の金融危機の影響によりホテル業界は打撃を被り、ヒルトンも不動産価値下落やホテル稼働率の低下に見舞われることになります。このため、ブラックストーンは経営再建を上手く進められない事態に直面し、一時期、ブラックストーンのヒルトンに対する投資は失敗に終わるとの観測も流れていたといいます。

こうして不調と見られていたヒルトンへの投資でしたが、2013年、ブラックストーンは“逆転勝利”することになります。ヒルトンは同年12月、6年ぶりの再上場が成功し、ホテルのIPO(新規株式公開)で過去最高額となる約23億5,000万ドルを調達することができたためです。同月にヒルトンが発表したIPO価格20ドルに基づいた場合、ブラックストーンの含み益は85億ドル程度にも上る計算となりました。

ブラックストーンは2014年にヒルトン株を一部売却したとされていますが、依然として多数の同株を保有しており、売却益を得るタイミングを計っているものと考えられます。

 

 

まとめ

PE投資は一般投資家にとってあまりなじみのないものかもしれませんが、PEファンドはその規模の大きさゆえに投資業界に多大な影響力を有するといえます。ヘッジファンドなどに関する知識と共に、PE投資についても知っておくと良いでしょう。

 

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片桐 峻

投資家、ファンドマネージャー。
日本にいる時は、時間を見つけてブログの読者さんとお茶しています。
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