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2016年11月06日

米HPなど多数の大企業を変えたヘッジファンドRelational Investors

 

サマリー

・リレーショナル・インベスターズとは、著名なアクティビストのラルフ・ホイットワース氏が創業した米大手ヘッジファンド運用会社

・リレーショナルの行ったアクティビスト投資として、ウェイストの企業再生やティムケンの企業分割などが挙げられる

・ホイットワース氏の病気療養のため、リレーショナルのファンドは2016年2月に解散したが、今後は新ファンドの設立を目指す

 

 

Relational Investorsとは?

Relational Investors LLC(リレーショナル・インベスターズ)とは、著名なアクティビストのRalph Whitworth(ラルフ・ホイットワース)氏が創業した米大手ヘッジファンド運用会社です。ホイットワース氏は、米ヒューレット・パッカードの会長に就任して経営改革を行ったことでも有名です。リレーショナルは数々の大企業の経営に関与し、アクティビストとして多数の実績を上げていましたが、2016年2月、ホイットワース氏の健康上の理由により、ファンドを解散しています。今後は新体制の下、リレーショナルの名を残して新規ファンドを設立する予定です。

今回は、リレーショナルが過去に行ったアクティビスト投資の事例を見てみましょう。

 

 

企業再生により多額の利益を上げる

1998年、リレーショナル創業者のホイットワース氏は、廃棄物処理サービスを手掛けるウェイスト・マネジメント社の経営に参加し、その後、同社会長に就任します。当時、ウェイストは不正会計問題のスキャンダルなどにより経営危機に陥っており、ホイットワース氏が同社の再建に乗り出したためです。

 

このウェイストの経営再建を通じて、ホイットワース氏率いるリレーショナルは多額の利益を得たとされています。特に、2003年にリレーショナルが約6,800万ドルで購入したウェイスト株は、1年弱で約8,000万ドルまで値上がりしたことが明らかになっています。このように2003年だけで約18%もの利益を得られた理由として、ウェイストの企業再生が上手く進められたことに加え、当時のITバブル崩壊などを原因とする株価下落がリレーショナルにとって追い風になったことが挙げられます。

このウェイストの事例のように、ITバブル崩壊やリーマン・ショックの暴落局面など全体の市場環境が大きく悪化している時期こそ、アクティビストファンドにとって巨額のリターンを獲得する機会が生じやすいと考えられます。

 

 

ティムケン株主総会で勝利

2012年、リレーショナルは、ベアリング・合金鋼大手のティムケンに対して同社の鉄鋼事業をスピンオフ(分離・独立)させるよう要求しました。1899年に設立されたティムケンは2012年当時、売上高50億ドルを上げる世界的な金属メーカーで業績も好調でしたが、既に主力のベアリング事業と鉄鋼事業とのシナジーがほとんど無くなっていました。そこでリレーショナルは、ベアリング事業と鉄鋼事業を分割することによって各事業が適正に評価されるようになると考え、特にベアリング事業の価値が高まると予測し、スピンオフの提案をしたのでした。。

 

当初、ティムケン経営陣はリレーショナルの提案に反対し、リレーショナル側は劣勢かと見られていました。リレーショナルは公的年金基金として全米2位の規模を有するカルスターズ(カリフォルニア州教職員退職年金基金)と共同して事業分割を提案していましたが、リレーショナルとカルスターズはティムケン株を合計7.3%しか保有していなかったためです。

 

しかし、リレーショナル側の持株比率は少数だったにも関わらず、2013年5月のティムケン株主総会において、リレーショナル側の提案は株主の過半数の支持を得る結果となります。その背景として、そもそもティムケンの企業価値向上を望む株主の潜在的なニーズがあったことや、後にティムケンのスピンオフに関するアドバイザーに起用されたゴールドマン・サックスの支持を取り付けたことなどが挙げられます。この株主総会を受けて、ティムケン経営陣は事業分割の実施を発表しました。

 

このリレーショナルの事例は、アクティビストの提案が一般株主などにも受け入れられる土壌が整ってきたことを表しているといえます。将来的に、アクティビストファンドが更なる活躍を見せる時代は近づいていると言えるかもしれません。

 

 

ホイットワース氏の休養に伴うファンド解散

以上のように、ホイットワース氏は活発なアクティビスト投資を行っていましたが、2014年、健康上の理由によりリレーショナルの業務を休職することが発表されました。この休職に伴い、2016年2月、リレーショナルの運営していた60億ドル規模のファンドは解散しました。今後、ホイットワース氏は同ファンドの会長職に残るものの、通常業務は他の幹部が引き継いだ上で新ファンドを設立する考えだとされています。

 

 

まとめ

現在、リレーショナル・インベスターズは大きな転換点を迎えていますが、その過去の投資手法は依然として参考になるものといえます。今回ご紹介した同ファンドの事例や実績などを通して、ヘッジファンドに対する理解を深めて頂ければ幸いです。

 

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片桐 峻

投資家、ファンドマネージャー。
日本にいる時は、時間を見つけてブログの読者さんとお茶しています。
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