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2016年12月29日

【意外と知らない金融基礎知識】直接金融と間接金融の違い

 

サマリー

・金融の形態には直接金融と間接金融がある

・直接金融はさらにプライマリーマーケットとセカンダリーマーケットに分かれている

・投資銀行はそれらのマーケットで企業や投資家の仲介業務を行っている

 

 

直接金融と間接金融の違い

金融の基本的な役割は、企業や国などの資金が必要な人と、資金を出資したい投資家をつなげ、資金の流れを円滑にすることです。そうすることによって、資金が不足している企業なども拡張した事業を行うことができ、経済規模の拡大につながります。

 

金融の形態には大きく2種類、”直接金融”と”間接金融”があります。直接金融とは企業などが株や債券などを発行することによって直接投資家から資金を集める形態を言い、間接金融とは銀行などの金融機関を通して投資家が銀行に預けたお金から資金を集める形態を言います。

 

直接金融のメリットとしては情報開示が少なくて済むという点があります。通常、間接金融によって銀行などから資金を集める際には、銀行の審査を受けなければならないので企業側は色々と情報を提示する必要があります。不要な情報開示を避けたいという企業にとっては直接金融が有効であるといえます。

 

 

プライマリーマーケットとセカンダリーマーケットとは

直接金融の市場も2種類に分けることができ、”プライマリーマーケット””セカンダリーマーケット”と呼ばれています。プライマリーマーケットは発行市場(一次市場)とも言います。

 

株式を例とすると、企業が新たに株を発行する際に投資家に購入してもらうことによって資金調達を行いますが、そこまでの工程を行う市場をプライマリーマーケットと呼びます。具体的に市場があるわけではなく抽象的な概念となります。

価格は株を新規に発行する企業、もしくは新規に増資する企業と証券会社が決定した公募価格となり、それを持って投資家に売却されることになります。

債権も株と同様で政府などが新規に債権を発行する際、最初に取引を行う市場をプライマリーマーケットと呼びます。

 

一方、セカンダリーマーケットとは流通市場(二次市場)とも呼ばれ、すでに出回っている株や債券を取引する市場となります。そのため、一般投資家が普段、東京証券取引所を通じで行っている株や債券の売買はセカンダリーマーケットで行われている取引と言うことができます。セカンダリーマーケットでは価格は投資家同士の間で決められることになります。

 

 

投資銀行の役割

投資銀行では企業などの資金が必要な人と、投資家をつなぐ仲介業務を行っています。その機能をマーケットごとにみると、プライマリーマーケットでは企業などの資金調達を一緒に考える機能、セカンダリーマーケットでは投資家同士の証券の売買やリサーチを提供する機能になります。

 

具体的には、プライマリーマーケットでは企業に資金調達として新株を発行すればいいのか、社債を発行した方がいいのか、転換社債にすべきなのかといったことをアドバイスしていきます。

セカンダリーマーケットでは、株や債券を組み合わせて金融派生商品を作ったり、投資家の目的に合わせて売買に必要な情報や商品を提供したりします。

 

投資銀行ごとにそれぞれ特徴があり、プライマリーに注力している所もあれば、セカンダリーに強みがある投資銀行もあります。例えばバークレイズ銀行は元々セカンダリー業務主体の銀行でした。しかし、リーマンブラザーズ解体に伴い、これを買収することでプライマリー分野にも進出し総合的な投資銀行となっています。

 

 

まとめ

金融には企業や政府、投資家間の資金移動を円滑にする役割があります。調達の形態や出資をするマーケットは自由ですが投資銀行などプロの力を借りて目的に合わせた適切な選択をすることが重要となります。

投資を行うということは金融界に足を踏み入れるということです。このような基礎知識は身につけておいた方がよいでしょう。

 

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