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2016年01月07日

REIT市場倍増で30兆円規模へ – REITで10万円から始める不動産投資 –

 

サマリー

・上場REITが大半を占める不動産投資市場は2020年までに倍増の30兆円規模を目指す
・気軽に不動産投資できるREITは、少額で出来るなど個人には多くのメリットがある
・しかし、REIT価格は実質的な価値より割高な可能性がある。「NAV」等で分析しよう

 

 

不動産投資市場、倍増で30兆円目標へ

2016年3月22日、国土交通省は2020年東京五輪までに不動産投資市場を30兆円程度まで拡大させる目標を発表しました。2015年末時点の不動産投資市場は約16兆円規模で、向こう約4年間で市場規模をほぼ倍増させる計画です。この市場の約9割を占めているのが上場REITと呼ばれる金融商品。今後は税制優遇措置などによって、上場REITへの投資が後押しされるとみられます。

では、いま注目のREITとはどのような商品なのでしょうか。ここではREITの仕組みを見ていきましょう。

 

 

個人投資家でもカンタンに不動産投資できるREIT

REIT(Real Estate Investment Trust)とは不動産投資信託のことで、通常の投資信託のように少額から不動産投資できる金融商品です。最低投資金額は10万円前後。多数の投資家からファンドの形で資金を集め、その資金を不動産に投資し、そして得た収益を投資家に分配するという仕組みです。このREITのうち、証券取引所に上場しているものを上場REITといいます。上場REITは株式と同じように売買することができ、市場の取引時間中はREIT価格の値動きがあります。

 

REITのメリットを知る上で、まず通常の不動産投資のデメリットを知るとわかりやすくなります。不動産投資には以下のようなデメリットがあります。

【不動産投資のデメリット】

・多額の資金が必要
・売却する場合、即時に現金化しづらい
・維持管理などのコストがかさむ

 

これに対して、REITは少額から始めることができ、売買もしやすく、不動産の管理もREITのファンドマネージャーに任せることができます。分配金を見ると、2016年3月末時点でのREITの平均分配金利回りは3.28%で、株式の予想配当利回り1.82%(東証1部平均)より高いのも魅力です。また、REITの投資対象は賃貸住宅、オフィスビル、商業施設、そして老人ホームなどのヘルスケア施設など多様。六本木ヒルズなど、個人では買えない大型ビルに投資できるのもメリットのひとつです。

 

 

REIT投資における注意点

REIT投資には気を付けておきたいポイントもいくつかあります。

まず初めに、REITの価格は、実物不動産の市況よりも株式市場全体の値動きに影響される傾向があります。そのため、REITと実物不動産の値動きが完全に連動するわけではありません。よって、例えば東京都心の不動産を有するREIT投資と東京都心の実物不動産投資は異なる結果になる可能性があります。

 

また、REIT価格は、将来の過剰な値上がり期待などから割高になっている可能性があります。REIT価格が割高か割安かを知るには、「NAV」などを参考にして判断する必要があります。NAV(Net Asset Value)とはREITの純資産を指す用語です。これはREITの投資不動産をすべて売却して借入金を返済したときに、REITにいくら現金が残るかを示すものです。このNAVとREITの時価総額(REITの発行済み投資口数×投資口価格)を比べることで、REITの割高感がわかります。

 

例えば、あるREITの投資口価格(REIT一口の価格)が16万円、発行済み投資口数が100万口の場合、REITの時価総額は1,600億円になります。このREITのNAVが1,000億円と仮定します。時価総額はREITの市場価格、NAVはREITの実質的な価値を示します。とすると、REIT自体の実質的価値が1,000億円しかないにも関わらず、市場ではこのREITに1,600億円の値段がつけられていることになります。よって、このREITは割高になっている可能性があります。

 

割高なREITに投資すると、投資成果は悪化します。これは、REIT保有不動産に当たるNAVに直接投資した場合と比較するとわかります。仮に、上記例で用いたREITのNAVが2,000億円まで値上がりしたとします。REIT投資の場合、投資元本は1,600億円ですが、一方、このREITのNAVに直接投資すると、投資元本は1,000億円になります。その結果、投資利益には以下の違いが生じます。

REIT投資の場合: 価値2,000億円-投資元本1,600億円=利益400億円
直接投資の場合:  価値2,000億円-投資元本1,000億円=利益1,000億円

 

以上のように、REITの投資利益400億円に対して、直接投資すると1,000億円の利益を得ることができます。同じ不動産に投資したにも関わらず、投資利益には600億円もの差が生じます。このように、投資方法によって明暗が分かれることがあります。よってNAVなどの指標を用いてREITを分析し、本当に有望な投資先か検討する必要があります。

 

まとめ

2020年の不動産投資市場の倍増目標からすれば、将来的に有望なREITがあるかもしれません。しかし、きちんと利益を得るためにはREIT銘柄を厳選する必要があります。REIT投資を行う際は、NAVなどの分析を通じて有望な投資先を見つけましょう。

 

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片桐 峻

投資家、ファンドマネージャー。
日本にいる時は、時間を見つけてブログの読者さんとお茶しています。
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