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2017年03月30日

今さら聞けない!M&Aの超基本 − TOB, MBO, LBOって何?

 

サマリー

・TOBとは株式公開買付けのことであり、不特定多数の株主から証券取引所を通さずに直接株式を買い付ける方法 

・MBOとは現在の経営陣が自社や事業を買収すること 

・LBOとは買収先企業の資産を担保に資金を調達して企業買収を行う手法

 

 

M&A(Merger and Acquisition)とは

M&A(Merger and Acquisition)とは、企業の「合併」と「買収」を表します。企業を成長させるために、近年ではM&Aを考慮にいれることが多くなってきました。実際、大型のM&Aも多く行われるようになっています。

ある企業と他の企業が統合する際には、経営権の移転を伴うものと伴わないものとがあります。これから説明する「買収」や「合併」は経営権の移転が起こり得るものです。尚、経営権の移転を伴わないものとしては、「合弁」や「提携」があります。「合弁」は複数の会社が共同で事業を行うための企業を立ち上げることで、「提携」は複数の会社が契約で協力関係を結ぶことです。

さて、M&Aにはその方法や主体によりいくつかの特徴があり、以下に見ていきたいと思います。

 

 

様々なM&Aの手法

 

TOBとは

TOB(Take-Over Bid)とは、株式公開買い付けのことです。TOBでは、ある企業を買収したい場合には、株価と期間を表明して、不特定多数の株主から証券取引所を通さずに直接株式を買い付けます。これにより、短期間で大量の株式を取得することができるため、企業買収で良く利用される方法です。

また、TOBには友好的、敵対的という言葉が良く付きますが、友好的TOBは、買収される企業が同意しているケースです。敵対的TOBというのは、買収される企業が同意していないにも関わらずTOBを実施する場合です。

 

MBOとは

MBO(Management BuyOut)とは、現在の経営陣が自社や事業を買収することを表します。これにより、経営陣が自社の経営権をもつオーナー経営者になります。例えば、企業が業績悪化などの要因で事業再編をする際に、MBOを行って上場を廃止して思い切った事業再編を行うというような場合に採用されます。

なお、MBOでは経営陣は買収資金を持っていない場合が多いため、ファンドなどから資金を調達します。そうすると、ファンドも強い経営権を持つことになるため、経営陣とファンドの関係が重要になります。

 

LBOとは

LBO(Leveraged BuyOut)とは、買収先の資産及びキャッシュフローを担保に資金を調達し、対象企業の改善によってキャッシュフローを増加させることで負債を返済していくM&A手法です。少ない自己資本で、相対的に大きな資本の企業を買収できることから、テコの原理になぞらえて「レバレッジド・バイアウト」と呼ばれます。

この手法は、買収時に自己資金が少なくても買収が行えるというメリットがある一方で、買収された企業のその後の業績や外部環境が悪化した場合、買収資金として調達した銀行借入等の返済計画が狂い、債務不履行に陥る可能性があります。したがって、比較的業績の見通しが立てやすい安定した企業や、早期に処分可能な資産を多く持つ企業を対象とする買収を行う際に利用するのが一般的とされます。

 

 

まとめ

最近では、様々な企業間で提携を結び、技術面や資本面、販売などの面で協業をする例が多くなっています。個人投資家として資産運用をする際にもファンドに預け入れて運用を任せる際にも、こうしたM&Aに対する深い理解は必須となってきます。

 

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