誰でも絶対に儲かる!?魔法の取引「キャリートレード」とは
サマリー
・キャリートレードは低金利の通貨で資金調達を行い、高金利の通貨で運用する取引を指す
・金利差収入により収益を得る
・しかし、為替変動により収益が吹き飛ぶ可能性もある
キャリートレードとは
キャリートレードとは金利の低い国の通貨で資金調達を行い、金利の高い国の通貨で運用することで金利差収入等を得る取引のことをいいます。
例えば円の金利が1%、ドルの金利が3%だったとしましょう。円を借り入れして資金調達を行い、ドルで運用すれば2%の金利差収入が得られます。これによって投資家はリスクなく利ザヤを得ることができるのです。まるで魔法のようなトレードですね。
しかし、本当にそうでしょうか。順を追って考えてみたいと思います。
まず、円の金利が1%、ドルの金利が3%、レートが1ドル100円だったとしましょう。円で100円借りてきて、1ドルに変え運用したとします。
すると、ドルの金利は3%のため1年後には手元に1.03ドルあります。
これを1ドル100円のレートで円に戻すと103円となり、借り入れしてきた100円に円の金利1%を足して101円返済すると、103-101=2円の収益が得られます。
やはり金利差分2%の収益をあげることができましたね。これは正しいでしょうか。
ここで、コラム「円高は必然!?金融理論でわかる金利と債券と為替の関係」を参照ください。
そう、金利が高い国の通貨は長期的に見ると価値が下がるのです。
上記の例で見ると、借りてきた100円をドルで運用して1.03ドルになるところまではいいのですが、その後1.03ドルを円に戻すときのレートに注意しなければなりません。
金利平価説に従って考えると1年後のレートは1ドル98.06円になるため、結局1.03ドルは101円となってしまいます。よって、収益が0になってしまうのです。
もちろん現実の為替の動きは、必ずしも金利平価説の通りになるという訳ではありませんから、収益が出ることも損失が出ることもあります。
一見、金利の低い通貨で調達し金利が高い国の通貨で運用すれば確実に儲かると思えますが、このように為替の変動によって収益は変動するためどうなるか分からないというのがキャリートレードで考慮すべき点です。
まとめ
確実に儲かるように見えるキャリートレードであってもよくよく考えるとどちらに転ぶか分からない取引であることが分かります。投資の世界は奥深く、1つの事象を考えるにあたっても多角的に考えていくことが重要なため、継続した勉強をお勧めします。
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