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2017年04月28日

日本の金融市場の転換期「金融ビッグバン」

 

サマリー

・金融ビッグバンとは、日本で1996年から2001年度にかけて行われた大規模な金融制度改革

・改革における基本的な原則は、Free・Fair・Globalの3つ

・この3原則に従い、様々な具体的な施策が導入された

 

金融ビッグバンとは、日本で1996年から2001年度にかけて行われた大規模な金融制度改革を指す経済用語です。英国のビッグバンと区別する意味で、日本版ビッグバンとも呼ばれています。

金融ビッグバンは、2001年(平成13年)には東京市場をニューヨークやロンドンのような国際市場にする、ということを目的に行われた改革です。

 

 

改革における3原則

金融ビッグバンには3原則と呼ばれる3つのキーワードがあります。ここではそれらについて順に説明していきます。

 

1)Free

市場原理が機能する自由な市場を目指す。

銀行・証券・保険分野における、幅広いニーズに応える商品・サービスの登場を促し、1,200兆円の個人貯蓄の効率的運用を目指す。

 

2)Fair

透明で信頼できる市場を目指す。

自己責任原則の確立のために十分な情報提供とルールの明確化を進める。

 

3)Global

国際的で時代を先取りする市場を目指す。

デリバティブなどの展開に対応した法制度の整備、会計制度の国際標準化を進める。

 

 

具体的な施策

以上の3つの理念を元に、様々な具体的な施策が導入されました。以下に、その一例を挙げます。

 

1)外為法の改正

外為法を改正して、一般企業でも外貨を自由に取引できるように、外国為替業務の自由化を図りました。個人でも、外貨預金が自由に持てるようになりました。

 

2)銀行と証券、生保と損保の業務の相互参入

銀行業務と証券業務の垣根を取り払う規制緩和が進められました。持ち株会社を通して、銀行は証券業務に、証券会社は銀行業務に参入できるようになりました。例としては、銀行でも投資信託の販売を行えるといったものがあります。

一方、保険業界でも、生命保険と損害保険の業務相互乗り入れが始まりました。

 

3)手数料の自由化

株式売買における手数料は金融ビッグバン以前は固定されており、どの証券会社であっても一定でしたが、手数料の自由化が行われました。

証券会社各社は手数料引き下げに伴い、顧客獲得の戦いに奔走することになりました。

 

4)証券総合口座の解禁

証券総合口座は、1997年に解禁されました。現在証券会社に口座を開設する場合は、この証券総合口座のことを指す場合がほとんどです。口座を開設すると、投資信託の一種であるMRFの買い付けが自動に行われ、証券取引における代金の受け払いなどがより簡単になりました。銀行の総合口座的なサービスと同じです。

※ MRF(Money Reserve Fund)とは

極めて安全性の高い債券を中心に運用している証券総合口座専用の投資信託です。申し込み手数料や解約手数料は無料で、元本保証であり、かつ、いつでも投資ができ、おろすこともできますが、銀行の預金金利と同等の利回りしか得られません。

 

5)ラップ口座の解禁

ラップ口座とは、2004年に規制が緩和されて始まったサービスの一つで、これまで売買による手数料が主な収入源であって個人投資家と証券会社の関係についてコンサルティング的な要素を盛り込んだ口座のことです。ラップ口座に資金を入れておくと、大まかな指示の元、証券会社の判断により適宜売買が行われます。

 

 

まとめ

金融ビッグバンはすでに10年以上も前の出来事ではありますが、金融市場の向かう原則的な流れがFree・Fair・Globalであることには今も変わりありません。より開かれた環境で、自由に金融商品に触れられるような舞台では、個人のリテラシーが重要になります。一般的に日本は、特に金融/資産運用におけるリテラシーが低いと言われているので、皆さん一緒に勉強していきましょう。

 

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