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2016年03月10日

投資信託販売の裏側 – 銀行での投資信託販売の危険 –

 

サマリー

  • ・昨今、資産運用がより一般的になっていく中で、金融商品と出会う場として、銀行が一般的である
  • ・しかし、銀行の営業員は必ずしも良い資産運用のパートナーとは言えない
  • ・誰と一緒にどこで資産運用をするのかについて、もっと慎重に考えなくてはいけない

 

 

日本での資産運用と銀行

昨今、投信の販売については様々な議論が為されています。

  •  手数料が高い?
  •  リスクなど説明不足?
  •  タコ足配当 etc.

 

論点は多岐に渡りますが、今回はそもそもの販売員の観点から見てみようと思います。

 

一般的に現状金融商品を購入できるのは、”証券会社”、”信託銀行”、”銀行”、さわかみ投信といった”直販店”、”ヘッジファンド”といったところでしょう。その中ではじめて金融商品(投資信託)と出会うのは銀行であることが多いのではないでしょうか。

本来銀行は、預金から利ざやを取って利益をあげるビジネススタイルが主流でした。しかし、昨今の超低金利, マイナス金利の現状を考えると今や投信販売の手数料も収益源として見逃せません。

 

では、銀行が金融商品を売る際の問題点には何が考えられるでしょうか?勿論すべての銀行が、というわけではありませんが、個人的な目線も含めると以下の3点が主な問題点として挙げられます。

 

 

銀行員の持つ3つの問題点

①顧客の財布知りすぎ問題

銀行はしばしば顧客の財産状況を「知りすぎ」ています。証券会社と違って銀行には、「今、お金がない」という言い訳が通用しないことが多く、顧客の定期預金の満期まで詳しく知った上でセールスすることもあります。

特に、給与振り込み口座があったり退職金が振り込まれたりする銀行は、資産運用の窓口にしない方が良いと思われる程にキャッシュフローが知られています。

例えば、宝くじの当選や遺産が転がり込んできた人に対して、その人の財布事情を考慮した上で、その人がギリギリ購入に踏み出せそうな絶妙なラインを見極めて商品を売りつけてきます。貯蓄が1,000万円の人に対して「この人なら200~300万は購入できるはずだ」という目算の元に商品設計を行ってきます。

そもそもその人がいくらぐらい運用にまわしたかったのか(あるいは回したくなかったのか)、どの程度の金額で運用を行うがその人の意図するところであり、その人にとって有益なのか。そういった観点を飛び越えて「いくらまで買えそうなのか」ということを把握されてしまうのは、いささか問題であるといえます。

 

 

②販売員が顧客目線ではない問題

全員が、というわけではありませんが、多くの行員は顧客の利益を最優先に考えてはいないのではないかと考えられます。

私が金融機関に勤務している時代にも、実際銀行がコンプライアンスを無視した販売をしていると言った話はよく耳にしました。例えば、金融リテラシーの低い知識の乏しいお客様に対し、その商品の持つリスクやデメリットについてきちんと説明せずに購入に繋げてしまうケースもあるようです。もちろん、一部の銀行のごく一部の行員に過ぎないとは思いますが…

銀行員が金融商品を扱う際、顧客目線ではなく販売員目線もしくは手数料重視といった考えが根底にあるということは往々にしてありえます。

彼らは、目の前のお客様がその投資信託によって利益を得なくても、その投資信託を売った時点でノルマを達成し、銀行の利益に貢献することになるため、往々にして“売る”ことに重点を置いてしまいがちなのです。

 

 

③知識量が足りない問題

銀行の販売員は常にマーケットを見ているというわけではないので、通常知識量が多いとも限りません。

証券会社であれば、日系企業ならQuick 外資系ならばBloombergといった情報媒体を常にウォッチしていているのですが、銀行ではそういった情報媒体は導入しておらず、マーケット知識といったものには鈍感であると考えられます。

顧客からすれば銀行員も証券営業員も同じ金融のプロであると思われがちですが、内情にはいささかギャップがあるのです。

 

細かく言えば他にもあるものの、特に大きく問題を感じるのは以上3点になります。

 

 

まとめ

現状のマイナス金利や年金の問題といった事を考えると、リスク資産への資産の流入は加速していくと考えられます。そんな中、どのような商品で運用するか、は勿論大切ではありますが、「誰をパートナーとして運用するのか?」「どういった金融媒体を利用するのか?」そういった点を今後シビアに見ていかなければいけないことは間違いなでしょう。

 

片桐 峻

投資家、ファンドマネージャー。
日本にいる時は、時間を見つけてブログの読者さんとお茶しています。
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