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2016年05月07日

投資信託販売の裏側 – 証券会社の持つ2つの問題点 –

 

サマリー

  • ・証券会社の投信販売の主な収入源は「手数料」であり、不要な売買を推奨してくる傾向がある
  • ・証券マンもサラリーマンであり、ノルマや会社の方針の影響を色濃く受けながら販売業務に携わっている
  • ・証券会社の営業マンは必ずしもあなたにとってベストのアドバイスをくれる最良のパートナーではない。
  •  必ず自身の目で良い商品なのかどうかを見極める必要がある

 

 

以前、銀行での投資信託販売の危険として行員の販売員の特徴とその危険性について書きましたが(過去コラム| 投資信託販売の裏側 – 銀行での投資信託販売の危険 –)、今回は証券会社での投資信託販売についていくつか注意しておいて欲しいことを書かせて頂きます。

 

私が証券会社に勤めていた経験上、証券会社での取引では、顧客がそのニーズに合わない商品を掴まされたり、また長期で保有すべき商品を短期で売り買いさせられたりと言ったことが頻繁に起こりえます。

 

その背景には、大きく以下の2点が考えられると思います。ここではそれぞれについて順に解説・考察していきたいと思います。

 

 

証券会社の抱える2つの問題点

① 投資信託は手数料を収入源にしている

証券会社で「営業マン」として評価されるにあたって最も重要なこと、それは「手数料を稼ぐこと」です。

投資信託は、一回の売買で比較的手数料が稼げる商品であり、証券マンの手取りの大きな糧となる商品です。実際、株式であれば買い手数料が額面の1%ほどなのに対し、投資信託であれば平均で3%となっています。

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これにより、手数料を稼ぐ為にできるだけ投資信託の売り買いの回数を増やしたいという考えが常に証券マンにはあります。とにかく売り買いを繰り返し行わせることで彼らは収益を上げることができるのです。

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その結果として、時に不必要な売買を勧められてしまうケースがあります。もちろんより多くの資金を投入してもらうことが、営業マンとしても理想ではありますが、当然ながら顧客の資金にも限界があります。そこで、保有している投資信託を売却してもらい、その資金をもって新たな商品を購入してもらうという方法を戦略としている証券マンが現れてきます。

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彼らにとっては、とにかく売買の量(回数)こそが重要であり、本当に投資対象として良い商品を販売することや長期的に投信を保有することが蔑ろにされてしまうケースが起こりうるのです。こういった顧客にとって“良くない”営業マンが実際に数多く存在しているのです。

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彼らに相談に乗ってもらっていると、結果として短期売買をさせられるケースが多くなってしまいます。もちろん短期売買の全てを否定するつもりはありません。一時的に爆発的な値上がりする場合など、短期で売買すべきケースもあるかとは思いますが、やはり投資信託ももちろん、全ての投資の基本は長期的な運用であるべきだというのが私の考えです。

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したがって、不必要な短期売買を強いられる可能性が高い、手数料頼みの証券営業マンは顧客にとって不利益な場合があり、その根源となっている「手数料で稼ぐ」というスタイルが証券会社の抱える問題点の一つ目になります。

 

 

② 証券マンの目線は必ずしもお客様第一ではない

一般に、「証券マン = 金融のプロ」であり、その相場状況において1番良い商品を提案してくれている存在だと考えられています。.

しかし、一部の証券マンに限って言えば、顧客の期待を第一義に行動しているのではないケースも見受けられます。彼らはサラリーマンであり、会社に課せられるノルマや、「●●を中心に売っていきたい」といった会社の方針などに影響を受けながら日々の業務(投資信託の販売)に取り組んでいます。

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そのため、自分の営業としての成績を伸ばす為、支店での強調商品やノルマ商品、はたまた新しく出る新規商品を勧めているだけの証券マンが数多く存在することも否定できないと、実際に証券会社に勤めていた時代に感じていました(まぁ私自身がどうだったかについては、ここでは言及を避けますが…)。

実際に営業マンとして、「自分の金だったから買わないだろうな」と思うような商品も無理に提案してしまうケースまでも見受けられます。

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このように「100%顧客目線で投資価値の高いもの」のみを勧めてくれる営業マンばかりではないというのが、証券会社の抱える2つ目の問題点になります。

 

 

まとめ

1番大切なことは、良い商品を選択し、長期的に保有し、しっかりと資産を増やすことです。しかし、その際、証券会社の営業マンの話を鵜呑みにし、彼らに判断を委ねてしまうと、知らず知らずの内に手数料ばかりを払ってろくな商品も買えないと言ったことが起こりえます。

彼らの置かれている状況や販売システムにも気を配りながら、必ずしも客観的に親身になってくれる存在ばかりではないということを頭の片隅にいれ、しっかりとご自身で良く検討してから投資の判断を行うことを強く推奨致します。

 

 

片桐 峻

投資家、ファンドマネージャー。
日本にいる時は、時間を見つけてブログの読者さんとお茶しています。
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