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2016年07月14日

原油価格の変動で日本株はどうなる?

 

サマリー

・原油価格と日本株の値動きには、一定の連動性がみられると考えられる

・原油安は、空運・海運株、化学関連株、繊維・ゴム製品関連株などにプラスに働く可能性がある

・一方、原油高の恩恵を受ける銘柄として、石油開発関連株、商社株、プラント建設関連株などが考えられる

 

 

原油価格と株価の関係

昨今の原油安が株価の下落に影響していると言われます。今回は、原油価格と株価の関係について見てみましょう。

 

下図は、直近1年程度の原油価格と日本株の推移を示したチャートです。青のチャートが世界の原油価格の指標となるWTI原油先物価格、赤のチャートが日経平均株価をそれぞれ示しています。

原油価格-日経平均http://finance.yahoo.com/より作成

 

このチャートを見ると、原油価格と日本株との間に一定の連動性が見られます。2015年4月頃を基準とすると、原油価格の値下がり率の方が大きくなっていますが、原油価格と日本株の推移は基本的に類似した傾向にあります。

 

この連動性の原因として、中東のオイルマネーの動向などが挙げられます。オイルマネーとは、産油国が原油の輸出などで上げた利益によって蓄積された資本を指します。このオイルマネーに関する記事によると(ZUU online「中東のオイルマネー、日本株への売り圧力は1500億円程度?」)、中東の主なソブリン・ウェルス・ファンド、すなわち中東各国の政府系ファンドの運用額は、アブダビ投資庁が約7,700億ドル(約82兆円)、サウジアラビア通貨庁が約6,700億ドル(約71兆円)、クウェート投資庁が約5,900億ドル(約63兆円)、カタール投資庁が約2,500億ドル(約27兆円)にも上っています(すべて2016年4月30日時点の為替ドル=106円換算)。これらの総額は240兆円以上にも及びます。

 

これらの中東の政府系ファンドが運用するオイルマネーは、原油価格が上昇すれば増加し、原油価格が下落すれば減少します。そして、原油価格の変動によって金融市場に流れ込むオイルマネーの量が左右されると考えられています。よって、昨今のように原油安になると、世界の株式市場からオイルマネーが逃避し、全体的な株価の下落をもたらすと言われています。

 

このように、原油価格と株価には一定の連動性があるとみられます。株式投資に当たっては、原油価格の動向にも注目する必要があると考えられます。

 

 

原油安がプラスに働く業界はどこか

以上では、原油価格が株式市場全体に与える影響を見てきました。では、原油価格の動向によって、個別の業界はどのように影響されるのでしょうか。

 

まず、昨今の原油安が業績に好影響を与える業界を見てみましょう。原油“安”がメリットとなる業界には、以下などが考えられます。

※当記事は個別銘柄の購入を推奨するものではありません。また、これらの銘柄が確実に株価を上昇させるということを保証するものでもありません。

 

■ 空運・海運業界

空運・海運業界は、原油安により燃料コストが低下することで、業績に追い風になる可能性があります。個別銘柄では、ANAホールディングス(9202)、日本航空(9201)などの空運株や、日本郵船(9101)、商船三井(9104)などの海運株などが挙げられます。

 

■ 化学関連業界

石油化学業界は、原油安により原料コストが低下することで、好業績につながる可能性があります。個別銘柄では、三菱ケミカルホールディングス(4188)、住友化学(4005)、旭化成(3407)、東ソー(4042)などが挙げられます。

 

■ 繊維・ゴム製品

繊維業界やゴム製品業界もまた、原油安により原料コストが低下することで、業界の追い風になる可能性があります。個別銘柄では、東レ(3402)、帝人(3401)、クラレ(3405)などの繊維関連株や、ブリヂストン(5108)、住友ゴム工業(5110)などが挙げられます。

 

 

反対に、原油高がプラスに働く業界は?

一方、原油高が業績に好影響をもたらす業界はどうでしょうか。原油“高”がメリットとなる業界には、以下などが考えられます。

※当記事は個別銘柄の購入を推奨するものではありません。また、これらの銘柄が確実に株価を上昇させるということを保証するものでもありません。

 

■ 石油開発・販売業界

原油高は、原油生産を行う企業や石油の精製販売を行う企業に直接影響します。原油高が株価に対してプラスに働く可能性のある銘柄には、国際石油開発帝石(1605)、石油資源開発(1662)、JXホールディングス(5020)、昭和シェル石油(5002)、東燃ゼネラル石油(5012)などが挙げられます。

 

■ 商社

原油高は、資源ビジネスを手掛ける商社にとっても追い風となります。具体的に、三菱商事(8058)、三井物産(8031)、双日(2768)、丸紅(8002)などの銘柄が挙げられます。

 

■ プラント建設

原油高になると原油生産が活発になるため、原油生産のためのプラント建設が増加する可能性があります。この恩恵を受ける可能性のある銘柄としては、日揮(1963)、千代田化工建設(6366)、東洋エンジニアリング(6330)などが挙げられます。

 

 

まとめ

原油価格の動向は、株式市場にも大きな影響を与えます。株式投資を行う場合、原油価格の動向から投資戦略を考えるのも一つの方法といえるでしょう。

なお、今後の原油価格の動向に関して、過去記事「原油安の背景とイランを含めた今後の見通し」もご参照ください。

 

※当記事は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的としており、将来の投資成果を保証するものではありません。また、特定の投資商品の購入を推奨するものでもありません。ご了承ください。

 

 

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