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2017年02月04日

灘中学・灘高校、その実体

 

サマリー

・灘中学、灘高校は、その進学実績からは考えられない程に自由な校風を特徴とする

・自分の意思で考え、自分の意思で勉強する人が育つ傾向がある

・卒業生の中には、作家やジャーナリズムの世界で活躍する有名人が多くいる

 

灘中学、灘高校とは

村上ファンドを創設した村上世彰は灘中高の出身であり、彼は中高時代に築き上げたネットワークをその後の投資に生かしました。彼のその後の活動をみると、灘中高の人脈は彼に多大な影響をもたらしたと考えられます。

灘中学校・高等学校とは、兵庫県神戸市東灘区に所在し、中高一貫教育を提供する私立男子中学校・高等学校です。受験に少しでも触れたことのある方ならご存知のことと思います。

設立は、1927年(昭和2年)で、元々は学力の高い学校ということはなく、神戸高校や兵庫高校に入学出来なかった者が入学してくる、2流高校という位置づけ。どちらかと言うと、柔道や野球と言った、スポーツ面での活躍が目立っていました。

戦後、国公立高校を学力で抜かすことを目指した灘中高は、学力向上に力を入れ、学力別にA,B,C,Dとクラスを分けるようになります。灘中高の進学実績は1960-70年の間にグングン伸び、当時全国で最も東大合格者を輩出していて都立日比谷高校を抜き、私立校としては初めて単独での東大合格者数首位の座に立ちました。

その後も、全国トップレベルの進学実績を維持し、現在では、卒業生の半分が京大か東大に進学するという、“超”進学校です。

 

 

灘中学、灘高校の校風

そんな、破竹の勢いで全国トップの進学校へ登り詰めた過去を持つ灘中学高校ですが、校風は極めて自由。

制服の着用義務が無い他、明文化された校則がなく、風紀について大部分を生徒の良識に委ねるなど、とにかく、“自由な校風”を特徴とします。遠足などの校外の行事においても基本的には現地集合、現地解散が慣習となっており、とにかく細かい判断の全てを生徒に委ねています。

この、自由の校風のせいか、灘中学灘高校には、とにかく真面目で“ガリ勉”という空気が全く漂っていません。私服の生徒が、学校の生き帰りで適当に店によって飲み食いをする。授業中も、真面目に聞いてる人もいれば漫画を読んだり寝たり弁当を食べてる者もいる。休み時間になると、食道にアイスやジュースが売られる。とにかく自由で、“緩い”空気が流れています。

 

 

何も言われなくても、勉強する人は勉強する

先生は生徒に対して、特に口うるさく何かを指導することはありません。しかし、生徒は勝手に勉強します。大学受験が近づいてくると、皆みるみるうちに入試モードに入って行く。

恐らく、生徒の大半は「自分は頭が良い」というプライドがあるので、周りからプレッシャーをかけなくても受験が近づけば特に理由なく良い大学を目指し得て勉強をするんだと思います。周囲の状況に流されて皆、勉強に打ち込むのです。

結局、灘の環境や灘の実績から推測される勉強に関して言えることは、以下のように整理出来るのではないでしょうか。

スパルタ教育には大した意味がない、人は特定の環境において勝手に勉強をする

自分で勉強する人間になる為には、頭の良さや勉強の結果に対して、プライド(自信)を持つことが重要

周りのレベルが高い環境にいることも重要

 

 

灘中学、灘高校出身の有名人

 

野依良治:

日本の化学者(有機化学)。2001年に「キラル触媒による不斉反応の研究」が評価されノーベル化学賞を受賞した。

村上世彰:

言わずと知れた村上ファンドの創設者。

遠藤周作:

小説家。キリスト教を主題にした作品を多く執筆し、代表作に『海と毒薬』『沈黙』『侍』『深い河』などがある。

黒岩祐治:

政治家、元ニュースキャスター。神奈川県知事(公選第17代)。

中島らも:

小説家。浪花節的な人情噺が得意でウェットな作品を多数書いている。

勝谷誠彦:

ジャーナリスト、コラムニスト。現場主義、歯に衣着せぬ論客として知られ、テレビ番組やラジオ番組への出演も多い。

桂福丸:

落語家。福團治に入門。

宮本雅史:

スクウェア創業者。

江崎勝久:

江崎グリコ社長(創業者江崎利一の孫)。

 

文学やジャーナリズムの世界にて才能を発揮する人が数多くいることは、一元的な価値観を押し付けない灘中高の校風から来ている傾向なのかもしれません。

 

 

まとめ

「灘中学・高校」と聞くと、どんな真面目な秀才が集まっているのかと思いますが、その実体や卒業生の姿からも、彼らは所謂“ガリ勉”タイプではないということが想像出来ます。
勉強が出来る、頭が良い、ということに対して日本人が偏ったイメージを持ってしまっていることが分かる、良い例なのではないでしょうか。

 

 

片桐 峻

投資家、ファンドマネージャー。
日本にいる時は、時間を見つけてブログの読者さんとお茶しています。
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