今さら聞けないNISA(ニーサ)の仕組み
サマリー
・NISAを利用すれば、毎年120万円までの株・投信の利益が非課税になる
・通常のNISAは20歳以上の個人が対象だが、19歳以下はジュニアNISAを使える
・一方、「損したのに税金がかかる場合がある」などのNISAのデメリットにも要注意
NISA(少額投資非課税制度)とは?
NISA(Nippon Individual Savings Account)とは2014年から始まった証券優遇税制です。証券会社等でNISA用の口座を開設して株式や投信を買うと、その値上がり益と配当金(分配金)が非課税になります。非課税対象は毎年120万円までの株・投信の新規投資分のみで、日本に住む20歳以上の個人投資家はだれでもNISAを利用することができます。
例えば、2016年に株を120万円分買い、その後に値上がりして100万円の利益を得たとします。通常、株式の値上がり益に対して約20%の税金がかかりますので、100万円儲けると税金が20万円程度かかることになります。しかし、これをNISAで買っておけば税金がゼロ。このような税制上のメリットがあることからも、株や投信の長期投資などには上手に利用したい制度であることがわかります。
この制度の非課税期間は最長5年間で、今のところ2023年までは毎年120万円の非課税枠を利用することが可能です。注意点としては、NISAをつくれるのは1人につき金融機関1社のみですので、どの金融機関が各自にとって最も便利か比較検討する必要があります。
19歳以下が利用できるジュニアNISA
また、日本に住む0歳~19歳の個人については、2016年4月からジュニアNISAが始まります。株・投信の利益が非課税になるのは通常のNISAと同じですが、非課税額や口座からの引出し制限など異なる点もありますので注意が必要です。
以下、NISAとジュニアNISAの主な違いをまとめました。
知っておきたいデメリット
以上のように、NISAは個人投資家にとってたいへん有益な面がありますが、一方でそのデメリットもよく知っておく必要があります。例えば、NISAを利用したのに損失を抱えてしまった場合、税制上のデメリットを負ってしまうケースがあります。
そもそも、NISA以外の通常の口座では、株・投信等の損失は他の株・投信等の利益と年間通算することが可能です。例えば2016年中にA株で30万円損したがB株では100万円利益が出たというとき、B株の利益すべてに税金がかかるのではなく、A株とB株の損益を通算し、結果として70万円分の利益にのみ税金がかかることになります。加えて、株・投信等の損失はその後3年間まで繰り越しができ、損失が出た年の後の3年間に生じた株・投信等の利益と相殺することもできます。
このように、通常の口座では損益通算や損失の繰り越しによって税金を減らすことができるのですが、残念ながらNISA口座ではそのような通算も繰り越しもできません。NISAでは利益を出せない場合、税制上のデメリットを負ってしまうこともあるのです。
さらにNISA口座で最長期間の5年が経つと、口座内の株・投信は通常の口座に移管されることになります。その場合、移管時の時価がその株・投信の取得価格とみなされてしまうことになるのですが、この点は特に注意が必要です。
例えば、NISAで120万円分の株を買ったのに5年経って値下がりしてしまい、株価が半分の60万円に下落したとします。5年経過したことで、その株はNISA口座から通常の口座に移管されることになるのですが、その際にその株の取得価格が60万円になってしまうのです。なぜこれが問題かと言うと、この後に株価が持ち直して100万円まで値を戻した場合、取得価格が60万とみなされているため、値上がり益が40万円あると評価されることになってしまいます。そして、その利益(40万円)に税金がかけられてしまうのです。つまり、そもそも120万円で買ったはずの株が値下がりしているのにも関わらず、5年経ってしまうと税金まで取られることがあるということです。
まとめ
このように、NISAを活用した投資をする上ではデメリットも含めたNISAの特性を知る必要があります。正しい活用法のもとで、ぜひ上手にNISAのメリットを活かした投資を行ってください。
参考URL
http://kabukiso.com/idiom/nisa.html
http://www.nomura.co.jp/nomuranisa/index.html
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/opinion/adachi/adachi_20130808.html
http://blogos.com/article/77469/