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2016年03月01日

FinTech(フィンテック)が金融業界を革新する!?

 

サマリー

・FinTechとは、スマホや人工知能などの最新技術を駆使した金融サービスを指す

・FinTech企業は様々な分野で、既存の金融機関では行い難い新しい金融サービスを提供している

・FinTech関連銘柄の一部をご紹介。FinTech企業に投資する際は、事業の将来性をしっかり見極めよう

 

最近、ニュースなどで耳にする”FinTech”。「今後、このFinTechによって金融業界に革命が起きる」などと言われています。今回は、そんなFinTechの概要を説明します。

 

 

FinTechとは何か?

FinTechとはスマホや人工知能などの最新技術を駆使した金融サービスのことで、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語です。

 

FinTechの関係する分野として、「決済・送金」「融資」「資産運用」などが挙げられます。一つずつ見てみましょう。

 

「決済・送金」の分野では、FinTechの例として、iPadなどのタブレットを決済端末として利用する方法が挙げられます。店頭での支払いをクレジットカードで行う場合、通常用いるレジがなくても、タブレットに専用端末を取り付ければカード決済することができるのです。

 

次に、「融資」の分野を見てみましょう。通常、融資といえば、銀行などの金融機関によって行われると考えられています。しかし、現在では、既存の金融機関に依存しない「ソーシャルレンディング」という方法が融資の分野で革新を起こしつつあります。ソーシャルレンディングとは、お金を借りたい人と貸したい人をインターネットの仲介サイトなどで結び付け、企業などの資金調達を仲介するサービスをいいます。例えば、仲介サイトがお金の借り手を審査してウェブ上で紹介し、お金の貸し手がその借り手に「融資したい」と感じた場合、融資が成立する仕組みになっています。

 

また、FinTechを用いて「資産運用」を行うサービスを展開している企業がお金のデザインです。この企業は、人工知能を用いた資産運用サービスを行っています。利用者がいくつかの質問に答えるだけで、人工知能が利用者ごとに最適な資産運用を提案してくれるのです。

 

このように、FinTechは、最新技術によって今までとは全く異なる形の金融サービスを提供しつつあります。既存の金融機関とFinTech企業との生き残りを懸けた競争が既に始まっているのです。

 

 

生き残るのは金融機関か?FinTechか?

FinTech企業は、既存の金融機関が今まで十分に提供できなかった金融サービスを担っています。その金融サービスの一つが、中小企業・個人商店など比較的規模の小さい事業主に対する積極的な融資です。

 

融資分野で事業を行うFinTech企業は、前述の通り、「ソーシャルレンディング」というサービスを既に手掛けています。融資を希望する事業主等は、融資の仲介サイトに登録し、ウェブ上で資金の貸し手を募集します。「ソーシャルレンディング」の融資利率は、通常の金融機関の融資利率より高いのが普通ですが、「ソーシャルレンディング」の利用者は金融機関での煩雑な手続きをしないで済むメリットがあります。

 

FinTech企業は、既存の金融機関が提供し難いサービスの隙間を突いて拡大しているわけです。

 

しかし、「ソーシャルレンディング」などのFinTech企業が将来、盤石な地位を築けるかは未だ不透明です。FinTech企業が事業を開始したのは概ね2008年以降で、まだ日が浅いからです。例えば、「ソーシャルレンディング」の融資によって不良債権がどれほど出るか、何らかのトラブルを頻発させるのではないか、などのリスクの面でまだ不確実性の残るところがあります。

 

今後、金融業界がどのような変化を遂げるかはわかりません。しかし、「ソーシャルレンディング」などの例からすれば、既存の金融機関とFinTech企業は互いに競合するとともに、相互に補完する関係になるのではないでしょうか。金融機関とFinTech企業は、どちらか一方のみが生き残るというわけではなく、互いの強みを生かせる分野に特化していくことになると予想されます。利用者の我々からすれば、金融サービスの利便性がより一層高まることを期待するばかりです。

 

 

FinTech関連銘柄一覧

FinTech業界が今アツい!という話をしてきましたが、ここでは、FinTechに関連する株式の一部をご紹介します。これらのFinTech関連企業が業績を拡大すれば、その株価が値上がりする可能性があります。

 

但し、「FinTech」という言葉が一人歩きしてブーム化している恐れもあります。銘柄によっては、株価に過熱感のある株式や、株価が実体的な裏付けのない「バブル」と化している株式が見られるかもしれません。また、マザーズなど新興市場の株式は、値動きが非常に大きくなる可能性があります。実際に投資する際はご自身の判断で行ってください。

 

■ さくらインターネット【3778

  • データ処理・加工などFinTechのインフラ技術を担う。データセンター運営の大手。
  • 2016年1月4日終値925円→同年4月8日終値1,207円(約30.5%上昇)

 

■ インフォテリア【3853

  • FinTechの基盤となるネットワークシステム「ブロックチェーン」を手掛ける。
  • 2016年1月4日終値1,010円→同年4月8日終値1,186円(約17.4%上昇)

 

■ ロックオン【3690

  • 「ブロックチェーン技術」を応用した電子商取引用受注エンジンの実証実験を開始。
  • 2016年1月4日終値2,762円→同年4月8日終値2,158円(約21.9%下落)

 

■ メタップス【6172

  • オンライン決済プラットフォーム「SPIKE」を提供する。海外展開も積極的。
  • 2016年1月4日終値3,060円→同年4月8日終値1,742円(約43.1%下落)

 

■ トレイダーズホールディングス【8704

  • 銀行ATMで使う指紋認証など、生体認証や決済サービスの開発・提供を行う。
  • 2016年1月4日終値409円→同年4月8日終値230円(約43.8%下落)

 

 

 

まとめ

FinTech業界には、大きな将来性を感じることができます。しかし、「FinTech関連銘柄だから」との理由のみで、安易に株式投資するのは早計です。FinTech関連銘柄に投資する際は、各FinTech企業が本当に業績拡大の余地があるのか、慎重に吟味する必要があるでしょう。

 

ご参考

・お金のデザイン – https://www.money-design.com/

 

※当記事は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的としており、将来の投資成果を保証するものではありません。また一部の金融商品の購入を推奨するものでもありません。

 

 

片桐 峻

投資家、ファンドマネージャー。
日本にいる時は、時間を見つけてブログの読者さんとお茶しています。
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