資産運用 Lab.
投資信託 or ヘッジファンド
投資ファンドの内、最も身近に感じられるものは投資信託だと思います。
しかし、同じ投資ファンドとは言え、「投資信託」と「ヘッジファンド」は構造が全く異なります。
実際、管理人は資産をヘッジファンドで運用していますが、如何なる投資家に対しても投資信託を勧めることはありません。
この考えの詳細を説明する為、本章では「投資信託」と「ヘッジファンド」を比較します。
(1) 募集形式
投資信託は公募形式ですが、ヘッジファンドは私募形式をとっています。 投資信託は証券会社や銀行等の窓口で購入出来ますが、ヘッジファンドは自らアプローチをしない限り到達することは出来ません。
(2) 対象としている投資家
投資信託は個人投資家(一般投資家)を対象として設計されています。
一方、ヘッジファンドは主に機関投資家や一部の富裕層の投資家を対象としています。
(3) 最低投資額
投資信託では、1万円前後から投資をスタートすることが出来ます。 投資信託というのはそのようにハードルを低く設定することで多くの個人投資家に買ってもらう事を目指して作られています。
一方ヘッジファンドは、一般的には1億円前後から投資をすることが出来ます。 ヘッジファンドのスキームの問題上、抱えられる投資家の数に制限が儲けられている場合が多く、投資最低額は高く設定されています。 ただし、中には1000万円やそれ以下の額から資産を預かってくれるヘッジファンドも存在します。
(4) 運用手法
投資信託は商品設計の段階で「出来るだけ多くの個人投資家に買ってもらう」ことを狙いとしています。 あくまで「特定の指標よりも相対的に良い」運用を目指しており、手法としては買い持ちを主体とした戦略となります。 つまり究極的には、プロに運用そのものを任せているわけではなく、「投資家の判断でどこかの相場(特定の企業、特定の国)に投資している」 と言えます。
ヘッジファンドは基本的に、特定の指標とは関係なく如何なる相場であっても絶対的に利益が出ることを目指します。 レバレッジやショートポジション等を活用したり、アクティビストとして企業に働きかけたりと手法は多岐に渡ります。
投資家は、ヘッジファンドがどのような運用をしているのか、詳細に知ることは出来ませんしファンド側も全ての戦略を開示することはありません。
こちらは、正真正銘、「プロに運用を任せている」状態です。
(5) 投資家が支払っている手数料
投資家が払っている手数料は、運用会社への手数料(一定の利率)、及び販売会社への手数料(一定の利率) となります。
例えば、大元の運用会社の運用成績が10%だとすると、そこから運用会社の報酬が2%引かれ、販売会社の報酬が2%引かれ、投資家の手取りは6%になる というイメージです。
ただし、実際の商流は、運用会社が運用の一部として他の投資信託を購入していたり、販売会社が複数に股がっていることが多いです。
つまり、運用会社A⇒運用会社B⇒販売会社A⇒販売会社B⇒投資家 という風に商品を買っている場合が多く、大元の運用から仲介した会社全ての手数料を支払った後に残った額が、 投資家の手取りとしての利回りとなっているという構造です。
ヘッジファンドでは、投資家はファンド会社に対し、「信託報酬」と呼ばれる固定利率の報酬と、「成功報酬」と呼ばれる運用成績に応じた報酬を支払うことになります。
成功報酬は運用益が出た場合には〜%と定まっているもので、運用成績がマイナスであれば基本的にはゼロです。 例えば、運用成績が40%だとすると、そこから信託報酬が4%、残りの36%の半分(=18%)が成功報酬、投資家の手取りは18%になる というイメージです。
以上見て来た通り、一言に投資ファンドとは言っても、投資信託とヘッジファンドの本質は全く異なります。
この中でも特に、(4)運用方法で見た通り、 相場がどうなっても安定的に利回りを出そうと考えるとヘッジファンドの他ありません。投資信託の利回りがネガティブになったとしても、運用者のスタンスは「相場が下がったから仕方が無い」ということにしかならないのです。
さらに言えば、もし何かの考えがあり「相場に掛けたい」と考えているのであれば、手数料の安いETFを買った方が良いというのが管理人の考えです。 例えば、日経平均が上がって行くと予想していて、そこに掛けたいのであれば、日経平均ETFをネット証券で購入することをオススメします。
これは、(5)投資家が支払っている手数料 の項目で見た通り、「複雑化した投資信託を証券会社の窓口で買うこと」は、無駄に手数料を払っていることに他ならないからです。
このような理由で、私はどのような投資家に対しても投資信託をオススメしないということです。
尚、ヘッジファンドは、(1), (2), (3) の背景があり、発見が困難且つ最低投資額のハードルがあります。 しかし、そこを自らマネージ出来るのであれば、投資信託とは比較にならない質の運用手法であると考えます。