資産運用 Lab.
第8章 鴨葱・駒
要約
本章では、ニッポン放送の株式取得を巡る争いについてその経緯が書かれている。
前提
ニッポン放送は、フジテレビの発効株式の内32%強を保有する株主。フジテレビは、ニッポン放送とのねじれた親子関係を解消したいと考えていたが、フジテレビに対する優位を崩したくないニッポン放送がイエスと言わない状況が続いていた。
2001年頃
村上ファンドが、ニッポン放送株取得を開始。
2003年6月末
村上ファンドは、ニッポン放送発効株式の内7%を取得済み。
2004年9月15日
村上は、ライブドア堀江に「ニッポン放送は良い。自分も買うから、ライブドアも買い集めてくれ」とささやいた。
同時期、村上はニッポン放送株取得を、楽天などのITベンチャーや大手商社にも同様にささやいていた。ニッポン放送を買収したいという企業がみつかれば、その企業にニッポン放送株を高値で売りぬく事ができると考えた為だ。
村上はニッポン放送を経営する気が本当にあったわけではなく、他の誰かをけしかけて、保有するニッポン放送株をつり上げた上で売り抜き、利鞘を稼ぎたいと考えていた。しかし、フジテレビを敵に回してまでニッポン放送株を取得したいと考えるものは、なかなか出て来なかった。唯一真剣に動いた常識はずれの会社が、ライブドアであった。
2005年2月8日
誰にも知られず、村上が、大量のニッポン放送株をライブドアに売却。
ライブドアが、東京証券取引所の売買システム「ToSTNeT-1」により、ニッポン放送の発効株式の内29.6%を新規に買い付け、合計35%強を握る筆頭株主に躍り出たと発表。ライブドア堀江は、誰から買ったのかは、分からないと主張。
2005年2月10日
村上が、大量のニッポン放送株を、一般投資家に売却。ニッポン放送の経営権取得争いに、ライブドアが本格的に参戦したことを受けて、ニッポン放送の株価が上昇しているところで、村上は売り抜いた。
まとめ
村上は当初、ライブドアに対して、一緒にニッポン放送の株を取得しニッポン放送攻略で共闘しようと持ちかけたが、ライブドアが本気になって走り出したタイミングで自分の持ち分をライブドアに売りつけ、さらに急騰したニッポン放送株価をみて残りの持ち分もマーケットに売り抜いてしまった。これに対しライブドア幹部の中には「村上に騙された」と考える者もいる。