資産運用 Lab.

ヘッジファンドに潜む特有のリスク

前の記事では投資信託とヘッジファンドを比較し、何故纏まった投資額があればヘッジファンドが良いのかを説明しました。

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ここでは、逆に、ヘッジファンドに潜む特有のリスクや難しさを説明します。

 

 

(1) 発見自体の難しさ

私募形式であることから、ヘッジファンドは発見自体が難しいです。 現実的には、知人に紹介して貰う、若しくは自ら問い合わせてアプローチを試みる のどちらかになります。

 

(2) 最低投資額の大きさ

ヘッジファンドは本来機関投資家及び一部の富裕層向けにサービスを提供していますので、 個人の投資家として投資を行おうと思うと資金面でのハードルが高くなります。 一般的には1億円近い額が最低金額となっていますが、中には1000万円程度もしくはそれ以下でスタート出来るファンドも存在します。

 

(3) 運用手法に伴うリスク(レバレッジ)

ヘッジファンドは投資信託と違い、大きくレバレッジを掛けて運用している場合があります。 例えばサブプライムローン危機で問題となったベアースターンズ・ハイグレード・ストラテジーズ・エンハンスト・レバレッジファンドは、 投資家から集めた資金約600億円を担保にして金融機関から借り入れを行い、その10倍にあたる約6000億円を運用していました。 彼らが扱っていた商品であるサブプライムローンの「こげつき」が発覚すると、彼らに資金を貸していた金融機関からは返済を求められましたが、 商品の流動性が低く現金化が出来ず、借入金の返済が出来なくなったこのファンドは経営破綻となりました。

このように大きくレバレッジを掛けてハイリスクを取りにいく手法を採用しているヘッジファンドもあるので、 リスクを嫌う投資家は、運用手法の説明を受ける段階でよく確認することが重要です。

 

(4) 運用手法に伴うリスク(ショートポジション)

ヘッジファンドによっては、ショートポジションを戦略として利用します。 これは空売りと呼ばれる手法で、通常の買い持ちとは逆で、銘柄の価格が「下がる程」儲かるという構造になります。 通常の買い持ちでは、リスクの最大値は購入した銘柄の価格がゼロになってしまうことですが、 空売りの場合、価格が上がれば上がる程損が出ますのでリスクに制限がありません。

空売りは、マーケットがどちらに動いても収益を出るようなポートフォリオを組むに際し有効な方法で、マーケットリスクを「ヘッジ」する目的で使用されたりもしますが、 基本的には無制限のリスクがつくということは覚えておいても良いでしょう。 こちらも、運用手法について購入前に確認をすることが重要です。

 

(5) 金融詐欺のリスク

ポンジ・スキームと呼ばれる手法が一般的で、これは「良い利回りの商品で、配当を出す」という嘘によって資金を集め、 集めた資金は実際には運用せず、後から入った投資者の投資資金によって以前から入っている投資者の配当金を払うというスキームで、 利益が出るように見せかけるものです。 実際には会社全体として見ると利益は全く出ておらず、負債のみが貯まっていく構造となっています。 会計士を入れた決算を行っているかを事前に確りと確認する等、犯罪集団ではないことを確りと見極める個人のリテラシーが必要です。

 

(6) 流動性の低さ

ヘッジファンドの解約日は、ファンドによって指定された日のみとなります。 通常、年に1〜4回の指定解約日が設定されています。 投資信託のように簡単に解約が出来ると、資産の内大きな割合を流動性の高い資産(預金等)で運用する必要があり、 より高いパフォーマンスが出せなくなってしまう為にこのようなシステムが設けられています。 ヘッジファンドに投資をする際は、ファンドマネージャーの腕を信じ、中長期で保有する姿勢が大切であると考えます。

 

 

以上が、ヘッジファンドを利用する際のリスクや懸念点です。 これらの点に充分留意した上でヘッジファンドを選定することが重要になります。

ヘッジファンドについて考える>

ヘッジファンド考察>


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ヘッジファンドに潜む特有のリスク

前の記事では投資信託とヘッジファンドを比較し、何故纏まった投資額があればヘッジファンドが良いのかを説明しました。

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ここでは、逆に、ヘッジファンドに潜む特有のリスクや難しさを説明します。

 

 

(1) 発見自体の難しさ

私募形式であることから、ヘッジファンドは発見自体が難しいです。 現実的には、知人に紹介して貰う、若しくは自ら問い合わせてアプローチを試みる のどちらかになります。

 

(2) 最低投資額の大きさ

ヘッジファンドは本来機関投資家及び一部の富裕層向けにサービスを提供していますので、 個人の投資家として投資を行おうと思うと資金面でのハードルが高くなります。 一般的には1億円近い額が最低金額となっていますが、中には1000万円程度もしくはそれ以下でスタート出来るファンドも存在します。

 

(3) 運用手法に伴うリスク(レバレッジ)

ヘッジファンドは投資信託と違い、大きくレバレッジを掛けて運用している場合があります。 例えばサブプライムローン危機で問題となったベアースターンズ・ハイグレード・ストラテジーズ・エンハンスト・レバレッジファンドは、 投資家から集めた資金約600億円を担保にして金融機関から借り入れを行い、その10倍にあたる約6000億円を運用していました。 彼らが扱っていた商品であるサブプライムローンの「こげつき」が発覚すると、彼らに資金を貸していた金融機関からは返済を求められましたが、 商品の流動性が低く現金化が出来ず、借入金の返済が出来なくなったこのファンドは経営破綻となりました。

このように大きくレバレッジを掛けてハイリスクを取りにいく手法を採用しているヘッジファンドもあるので、 リスクを嫌う投資家は、運用手法の説明を受ける段階でよく確認することが重要です。

 

(4) 運用手法に伴うリスク(ショートポジション)

ヘッジファンドによっては、ショートポジションを戦略として利用します。 これは空売りと呼ばれる手法で、通常の買い持ちとは逆で、銘柄の価格が「下がる程」儲かるという構造になります。 通常の買い持ちでは、リスクの最大値は購入した銘柄の価格がゼロになってしまうことですが、 空売りの場合、価格が上がれば上がる程損が出ますのでリスクに制限がありません。

空売りは、マーケットがどちらに動いても収益を出るようなポートフォリオを組むに際し有効な方法で、マーケットリスクを「ヘッジ」する目的で使用されたりもしますが、 基本的には無制限のリスクがつくということは覚えておいても良いでしょう。 こちらも、運用手法について購入前に確認をすることが重要です。

 

(5) 金融詐欺のリスク

ポンジ・スキームと呼ばれる手法が一般的で、これは「良い利回りの商品で、配当を出す」という嘘によって資金を集め、 集めた資金は実際には運用せず、後から入った投資者の投資資金によって以前から入っている投資者の配当金を払うというスキームで、 利益が出るように見せかけるものです。 実際には会社全体として見ると利益は全く出ておらず、負債のみが貯まっていく構造となっています。 会計士を入れた決算を行っているかを事前に確りと確認する等、犯罪集団ではないことを確りと見極める個人のリテラシーが必要です。

 

(6) 流動性の低さ

ヘッジファンドの解約日は、ファンドによって指定された日のみとなります。 通常、年に1〜4回の指定解約日が設定されています。 投資信託のように簡単に解約が出来ると、資産の内大きな割合を流動性の高い資産(預金等)で運用する必要があり、 より高いパフォーマンスが出せなくなってしまう為にこのようなシステムが設けられています。 ヘッジファンドに投資をする際は、ファンドマネージャーの腕を信じ、中長期で保有する姿勢が大切であると考えます。

 

 

以上が、ヘッジファンドを利用する際のリスクや懸念点です。 これらの点に充分留意した上でヘッジファンドを選定することが重要になります。