資産運用 Lab.

第4章 縁故投資

要約

村上はこれまで、内部に自分と極めて近しい者がいる会社を狙って投資を行ってきた。この傾向を著者は縁故投資と表現し、これが村上の“内向きな姿勢”であるとしている。

また著者は、このように近しい関係者がいる投資を行うことは金融の世界では好ましくない手法であるとし、後のインサイダーに繋がったのだと指摘。

村上が過去に取り組んだ“縁故主義的な”案件は、以下の通り。

 

 

北日本紡績

1999年3月末、村上がまだ通産官僚だった時代に、村上は北日本紡績の株を2%保有し、第13位株主となっている。

同社は石川県に存在する繊維メーカーであり、村上は「広大な土地等、様々な資産を有効活用していないから」という理由で保有したとしているが、実体として村上が北日本紡績の経営者の息子と仲良くなり深い関係になった後にこの投資が行われていることから、何かしらの情報を手に入れた状態での投資だったと著者は見ている。

 

スクウェア

村上の個人資産管理会社であるオフィスサポートが、一時期、灘中学・高校の先輩である宮本雅史が創業したスクウェア(現スクウェア・エニックス)の大株主だったことがある。

これはある程度成功をおさめた投資だったと思われている。

 

ウッドランド

通産省時代の5期先輩にあたる安延申が社長を務めるウッドランドの株を、村上が個人名義で持っていた。後に村上個人の名前は帰依、代わりに村上ファンドの一つであるMACスモールが株主に登場した。MACスモールは、ウッドランド株の33.99%を握る筆頭株主となった。

 

阪神電気鉄道

具体的な買収事例については本書の後半で詳細が語られるが、少なくとも阪神の社外取締役である玉井英二の息子が、村上の東大時代の同級生であった。

 

クレイフィッシュ

クレイフィッシュの創業者である松島康と村上は直接の知り合いというわけではなかったが、クレイフィッシュは光通信が出資したベンチャー企業でありその後光通信によってTOBを仕掛けられることになる。村上は、当時の光通信社長であった重田康光と極めて深い関係にあった。

村上と重田は当時、広尾ガーデンヒルズの隣接する棟に住んでおり、子供達も同じ学校に通い、頻繁に両家を行き交っていた。

 

 

著者が様々な事例を用いて示唆したかったのは、村上が、逮捕された案件以外にも大小様々なインサイダー取引を行って来たのではないか、という可能性である。
村上の過去の様々な事例に対してインサイダーとしての明確な論拠は無いにしろ、縁故的な投資スタイルは、常にインサイダーのリスクをはらんでいるというのが著者の指摘である。

トリックスター>

世紀の空売り>

ライアーズ・ポーカー>


資産運用 Lab.

第4章 縁故投資

要約

村上はこれまで、内部に自分と極めて近しい者がいる会社を狙って投資を行ってきた。この傾向を著者は縁故投資と表現し、これが村上の“内向きな姿勢”であるとしている。

また著者は、このように近しい関係者がいる投資を行うことは金融の世界では好ましくない手法であるとし、後のインサイダーに繋がったのだと指摘。

村上が過去に取り組んだ“縁故主義的な”案件は、以下の通り。

 

 

北日本紡績

1999年3月末、村上がまだ通産官僚だった時代に、村上は北日本紡績の株を2%保有し、第13位株主となっている。

同社は石川県に存在する繊維メーカーであり、村上は「広大な土地等、様々な資産を有効活用していないから」という理由で保有したとしているが、実体として村上が北日本紡績の経営者の息子と仲良くなり深い関係になった後にこの投資が行われていることから、何かしらの情報を手に入れた状態での投資だったと著者は見ている。

 

スクウェア

村上の個人資産管理会社であるオフィスサポートが、一時期、灘中学・高校の先輩である宮本雅史が創業したスクウェア(現スクウェア・エニックス)の大株主だったことがある。

これはある程度成功をおさめた投資だったと思われている。

 

ウッドランド

通産省時代の5期先輩にあたる安延申が社長を務めるウッドランドの株を、村上が個人名義で持っていた。後に村上個人の名前は帰依、代わりに村上ファンドの一つであるMACスモールが株主に登場した。MACスモールは、ウッドランド株の33.99%を握る筆頭株主となった。

 

阪神電気鉄道

具体的な買収事例については本書の後半で詳細が語られるが、少なくとも阪神の社外取締役である玉井英二の息子が、村上の東大時代の同級生であった。

 

クレイフィッシュ

クレイフィッシュの創業者である松島康と村上は直接の知り合いというわけではなかったが、クレイフィッシュは光通信が出資したベンチャー企業でありその後光通信によってTOBを仕掛けられることになる。村上は、当時の光通信社長であった重田康光と極めて深い関係にあった。

村上と重田は当時、広尾ガーデンヒルズの隣接する棟に住んでおり、子供達も同じ学校に通い、頻繁に両家を行き交っていた。

 

 

著者が様々な事例を用いて示唆したかったのは、村上が、逮捕された案件以外にも大小様々なインサイダー取引を行って来たのではないか、という可能性である。
村上の過去の様々な事例に対してインサイダーとしての明確な論拠は無いにしろ、縁故的な投資スタイルは、常にインサイダーのリスクをはらんでいるというのが著者の指摘である。