【まとめ】資産運用を始める前に知っておきたい金融商品の種類
サマリー
・金融商品のポイントである安全性、換金性、収益性の3つの要素が各商品によって異なっている
・預貯金、外貨、株式、債券、投信、投資型保険、ヘッジファンドなどの各金融商品の特徴を知る必要がある
・投資家各自のニーズと照らし合わせて、多様な金融商品の中から適切なものを選択しよう
金融商品を特徴づける3つの要素
資産運用を始める前に、様々な種類の金融商品があることを知っておいて頂きたいところです。各金融商品を特徴づける要素として、以下の3つが挙げられます。
- 1. 安全性・・・元本の払戻しや利子の支払いの確実性を示す。
- 2. 換金性・・・金融商品を現金に換えやすいかどうかを示す。流動性ともいう。
- 3. 収益性・・・どれくらいの利益が期待できるかを示す。
これらの要素を参考に、預貯金、外国通貨、株式、債券、投資信託、投資型保険、ヘッジファンドなどの各金融商品の特徴を知っておく必要があります。
ここでは、それぞれの金融商品の特徴を見てみましょう。
預貯金
預貯金は、最も一般的な金融商品といえます。ほとんどの場合は元本保証されるため、金融商品の中で最も安全性の高い商品の一つだと考えられます。また、通常、換金性も高い商品ですが、預貯金の種類によっては資金が固定される場合があります。しかし、低金利が長期的に続いている現状では、収益性は大変低いと言わざるを得ません。
預貯金にも様々な種類があります。一般的に、「金利」「満期」「最低預金残高」などの点が預貯金ごとに異なっています。例えば、以下のような種類があります。
■ 普通預金・・・平均金利002%、満期・預金残高などの条件なし
■ 貯蓄預金・・・平均金利003%(300万円以上)、満期なし、最低預金残高の制限あり
■ 定期預金・・・平均金利019%、満期1~10年などが主流、最低預金残高の制限あり
(平均金利はYahoo!ファイナンス参照:2016年6月14日時点)
外国通貨
外国通貨を保有しても、資産運用を行えます。外貨の代表的な投資対象として、米ドル、ユーロ、豪ドルなどの先進国通貨や、人民元、ブラジルレアル、南アフリカランドなどの新興国通貨などが挙げられます。これらの外貨投資には為替リスクが伴うため、安全性は低いと考えられます。一方、外貨から日本円に換えることは比較的容易といえるため、換金性は高いといえます。また、為替差益や相対的な高金利を見込めるため、収益性はやや高いといえます。
外貨投資の例として、外貨預金や後述する外国債券などが挙げられます。加えて、FX(外国為替証拠金取引)も外貨投資の一つといえます。FXとは、業者に証拠金を預ける代わりに自己資金を上回る為替取引を行える投資手法を指します。自己資金以上の多額の取引を行うことができるため、FXはハイリスク・ハイリターンとなる可能性があります。
株式
証券取引所に上場している株式は、代表的な金融商品の一つです。株価が値下がりした場合や、万が一企業が倒産した場合大きな損失を抱える可能性がありますので、安全性はやや低いといえます。一方、株式の売却から通常4営業日後に現金化されるため、換金性は高いといえます。また、値上がり益や配当が期待できるため、収益性も高いといえます。
2014年末時点では、全国の証券取引所に上場している企業数は3,584社とされています。主に東証1部に上場するような有名企業からマザーズなど新興市場に上場するベンチャー企業まで、多様な企業の株式が市場で取引されています。よって、投資先の企業ごとにリスクの程度が異なるため、株式投資を行う場合は注意が必要です。
また、日本株に類似した商品として外国株、ETF、REITなどが挙げられます。外国株投資は株式の特徴に加えて外貨の特徴を併せ持つことになりますので、日本株よりもリスクの大きい投資となります。尚、ETF及びREITにつきましては以下の過去記事をそれぞれご参照ください。
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債券
代表的な債券として、国債、地方債、社債などが挙げられます。日本国債や日本企業の社債など円建て債券については、発行体が破綻しない限り元本が全額償還されるため、安全性は高いといえます。しかし、途中解約の場合、元本が全額戻らない可能性がありますので、換金性はやや低いといえます。また、日本国内は低金利の状況が続いていますので、収益性は大変低いと言わざるを得ません。
一方、外国国債や外国企業の社債など外貨建て債券については、為替リスクがあるため安全性は低いといえます。また、途中解約の場合の元本割れリスクがあるため、換金性もやや低い商品です。しかし、為替差益や相対的な高金利を見込めるため、収益性はやや高いといえます。
投資信託
投資信託(通称:投信)は、運用の専門家であるファンドマネージャーに資産運用を託すことができる金融商品です。また、投資信託ごとに投資対象が全く異なるという特徴を持っています。株式のみを投資対象とする投信、債券のみを投資対象とする投信、数種類の金融商品をバランスよく組み合わせた投信など、様々なタイプがあります。よって、投資信託の商品性は、個別のタイプごとに詳細にチェックする必要があります。
投資信託には、大きく分けて以下の2つのタイプがあります。
- ■ 公社債投資信託・・・株式などリスク資産を組み入れず、国内債券等を投資対象とするもの
- ■ 株式投資信託・・・公社債投資信託以外の投資信託全て
公社債投資信託の例として、MRF やMMFなどが挙げられます。これらは安全性・換金性が比較的高いといえますが、収益性は大変低い商品といえます。一方、株式投資信託とは株式を投資対象とするものだけでなく、外国債券などを投資対象とするものも含まれます。つまり、リスクのある金融商品を投資対象とする場合、全て株式投資信託に当たることになります。株式投資信託は、安全性はやや低いものの、換金性・収益性は比較的高いといえます。
投資型保険
保険の中には、一般的な生命保険などと異なり、資産運用に適した商品があります。例えば、変額年金保険や投資型終身保険などが挙げられます。これらの投資型保険は、ファンドマネージャーが顧客から預かった保険料を株式や債券などで運用する特徴を持っています。この点で、投資型保険は投資信託とよく似ています。加えて、投資型保険には、一定の条件の下で元本割れリスクを低減させる特徴を持つものがあります。
以上の特徴からすれば、元本割れリスクを低減させることができる場合があるため、投資型保険の安全性はやや高いといえます。しかし、投資型保険は解約しづらいため、換金性は低いといえます。また、投資信託と同様、ファンド運用によるリターンを追求しますが、投資信託より運用コストが高い傾向にあるため、収益性は投資信託よりも劣るといえます。
ヘッジファンド
ヘッジファンドとは、株式や債券などの伝統的な資産運用に縛られない独自の投資スタイルによりリターンを追求する手法です。ファンドマネージャーに運用を託す点は投資信託や投資型保険と共通します。しかし、投資信託や投資型保険はファンド運用に様々な規制がかけられている一方、ヘッジファンドは自由な投資戦略を採ることができ、あらゆる市場環境に応じて臨機応変に収益を追求できるという相違があります。そのため、従来の株式・債券などに代わる資産運用のニーズのある投資家や、投資戦略の自由度の高さに期待する投資家に人気のある投資手法といえます。
ヘッジファンドは投資信託などと同様、損失リスクがあるため安全性はやや低いといえます。また、一般的に長期の資産形成を目的とするため、換金性も低いといえます。一方、投資戦略の自由度から収益性は高いといえます。
まとめ
以上のように、投資家は多種多様な金融商品を選択することができます。投資を始める前に、ご自身のニーズと照らし合わせながら適切な金融商品を検討すると良いでしょう。詳しくは当サイトの「資産運用Lab.」のページで詳しく解説しているので、そちらも合わせてご確認ください。
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