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2017年07月26日

ヘッジファンドの巨匠 − ウォーレン・バフェットとは

サマリー

・バフェットとは偉大な投資家である

・バフェットは、企業の本質的価値に注目し、投資を行う

・バフェットは、長期的な目線で考えることを何よりも重要視する

 

 

ウォーレン・バフェットとは

ご存知ウォーレン・バフェットとは、バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway Inc.)等を通して多額の株式投資を行い、大きな成功を収めた人物です。バフェットが1965年にバークシャー・ハサウェイの経営権を握ってから2015年現在までの約50年間に、S&P 500の上昇率が約14,000%(140倍)だったのに対し、バークシャー・ハサウェイの株価は約200万%(20,000倍)という桁外れの上昇をみせました。運用成績としては複利計算で約21%のリターンを40年以上に渡って出していることになります。

フォーブス誌によるアメリカの長者番付フォーブズ400では1986年の5位以来、毎年のようにベスト10に入り続けていますが、バフェットの生活はとても質素で、1958年に31,500ドルで購入したオマハの郊外の住宅に今でも住んでいます。バークシャーはバフェットが経営権を握って以来、無配当を貫いているため、バフェットも同社から配当金は貰っていません。ファンドマネージャーとして世界でも最も成功している人物は、一般人が思い描くような貴族的な生活とは程遠い、ごく一般的な中流階級かのようです。

 

 

ウォーレン・バフェットの具体的な投資戦略

バフェットの投資に関する考え方はベンジャミン・グレアムの理論をベースとしています。大原則として、株式が企業の一部であることを意識し、市場に惑わされず、安全余裕率を忘れないことが重要な要素だと彼は説きます。その他に、当初は、フィリップ・フィッシャーの影響も受けており、PBRが1よりも小さい株を買い、価格修正されたところで売却して差額を得るという方法もとっていました。しかしその後、いくつかの投資やチャーリー・マンガーの意見によって、バフェットは数字に表れない内在価値が高い事を重視するようになり、普通の企業を格安で買うよりも優れた企業を相応の価格で購入すべきだと考えるようになりました。

バフェットが投資する基準として、「事業の内容を理解でき」「長期的に業績が良いことが予想され」「経営者に能力があり」「魅力的な価格である」という4つを挙げています。事業の内容が自分にとって複雑すぎる分野には手を出さないため、基本的にハイテク分野の企業などには投資をしません。基本的には、尊敬できる有能な経営者とだけ付き合うというスタンスをとりますが、一方で、どんなに有能な経営者も悪化したビジネスを立て直すことはできないと考えています。

またバフェットは過度な分散投資を行わず、基準を満たす優れた企業を買収あるいは株式を大量に取得するという集中的な投資を行います。買収した企業では、元の経営陣がそのまま経営を続け、バフェットは資本の安定と適正な役員報酬によって経営者が安心して運営できる環境を提供することに専念します。バフェットの方針は「経営を続けたいが企業を売却したい」というオーナー経営者を惹きつけ、1997年から1999年の間には7社の買収に成功しました。

 

 

ウォーレンバフェットの考え方

バフェットは、株式投資や生き方、お金の捉え方や慈善事業について等、幅広いジャンルに関して、多くの含蓄ある言葉を残しています。

しかし、管理人からみてバフェットの考え方というのは非常にシンプルで、バフェットは繰り返し繰り返し、手を替え品を替えたった一つのことを伝えようとしていると感じます。それは、「物事を長期的に考えろ」という、ただこれだけのことです。

 

バフェットの思想の根底には、本質的に正しいことは時間が経てば自ずと明らかになるという考えが横たわっているようです。短期的には、様々な要因により、様々なことが起こる。株式投資で言えば株価の変動が起こるのかもしれないし、生き方で言えば様々な小さな後悔が生じるかもしれない。

しかし、何が物事を決める「最も重要な原理なのか」を見定め、それにひたすら従って行動していれば、その正しさは時間と共に明らかになっていく。重要なのは、上手くいかない短期の間に、原理原則の正しさを「疑わない」ことである。

これがバフェットの根底に潜む考え方なのだと思います。

 

 

バフェットの名言

バフェットの名言の中には、物事を長期で考えるべきであるという思いが込められたものが多くあります。投資だけに関わらず、様々な局面において参考になる部分もあるかと思うので、最後にいくつかご紹介させて頂きます。

 

「今日や明日、来月に株価が上がろうが下がろうが、私にはどうでもいい。その会社が10年、50年経っても欲しいと皆が思うものを作っているかどうかが重要だ。」

 

「喜んで10年間株を持ち続ける気持ちがないのなら、たった10分間でも株を持とうなどと考えるべきですらない。」

 

「私自身は投機は成功しないと思っている。」

「信頼できるもの、そして10年、20年、50年経ってもみんなが欲しいと思うものをつくっていく事業なのか。これらが、私が投資判断するうえでの基準であります。それについて、見方はまったく変わっていません。」

 

「コカ・コーラが10年後、どれほどの業績をあげるかは多少の幅で予想が分かれるかもしれません。しかし、長期にわたって投資を続けたときに、世界中の企業をリードできると確信しました。そして所有していなければならないと考えました。コカ・コーラは20年後には経営者が変わっていることでしょう。しかし、それでもコカ・コーラの優位性は揺るぎないと思うから、投資をするのです。」

 

「企業の実態がマーケットや株価に反映されるまでに、随分と時間がかかってしまうことがあるかもしれません。しかし、事業の成功が一般に認知されるのにどんなに時間がかかろうとも、その企業が期待通りの高い成長をする限り、問題はありません。むしろ、認知が遅くなった方が、投資家にとって都合がいい場合が多くあります。投資家にとってバーゲン価格が続くわけですから。」

 

「株ではまずビジネスをそれ自体に注目することです。多くのプロの投資家や学者たちが、毎日の株価に一喜一憂しています。しかし、株価やマーケットの動向を、毎日、毎週、毎月追うことで、投資が成功するとは、私は考えていません。株は、そのビジネスの一部でしかないからです。注目すべきは、株価ではなく、事業そのものでなくてはなりません。」

 

「時機を逸することへの対策は、長期にわたって株を持ち続け、景気が悪化して株価が下がっているときには決して売らないことである。このルールに従っていれば、さまざまな分野に手を広げながらもコストを最小限に抑えたい「知識のない」投資家でも満足のいく結果をほぼ確実に出すことができる。」

 

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片桐 峻

投資家、ファンドマネージャー。
日本にいる時は、時間を見つけてブログの読者さんとお茶しています。
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