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2017年08月23日

ヘッジファンド初心者はここに注意 – ヘッジファンドを選ぶときに確認するべき7つのポイント

サマリー

・ヘッジファンドを見極めるには重要なポイントが7つある

・目先の数字に惑わされずに、そのファンドの本質を見極める力を身につける必要がある

・必ず自身の目で、直接ファンドを見て確認するべきである

 

 

資産運用への関心が高まる今、注目が集まるヘッジファンド

最近は日本でも資産運用への関心が高まってきているかと思います。NISAやREITといったお手軽な金融商品も増えてきているほか、ネット証券の普及など、運用の世界に入るハードルが低くなってきました。

 

そして、様々な金融商品・金融機関にアクセスできるようになる中で、日本においても「ヘッジファンド」の認知度が高まってきました。

かねてから、世界の投資家たちや一部の富裕層たちの間では、一流の投資手法・投資先として認知されていたヘッジファンドですが、日本の一部の一般投資家の間でも日々関心が高まり、また少しずつ優良なファンドが増えていく中で、投資先の選択肢の一つとして考えられるようになってきました。

運用の世界に興味を持つようになるにつれて、読者の皆さんの中にも「ヘッジファンドに投資してみたい」と考えるようになった方もいらっしゃるかと思います。

 

ただ、ヘッジファンドに投資してみたいと考え、候補となるファンドを探してみたところで、最終的に何をもってよいヘッジファンドとそうでないものを見極めたら良いのか迷われる方も多くいらっしゃるかと思います。

そこで、今回は様々なファンドを見てきて、また多くのファンドマネジャーとも交流を持ったことのある立場から、自分にあったファンドを見極めるポイントを7つに絞ってお伝えしたいと思います。

 

 

ヘッジファンドに確認するべき7つのポイント

ヘッジファンドを見極めるためのポイントとしては以下の7つが非常に重要だと私は考えています。

1.投資戦略

2.運用目標

3.過去の運用実績

4.最低出資金額・ロックアップ期間

5.スタッフの対応・コンタクトのしやすさなど

6.会社情報(免許・登記の場所など)

7.手数料などの報酬形態

 

特にこの7つのポイントは手前の(数の小さい)ものほど優先度が高く、後ろの(数の大きい)ものほど優先度が低くなります。そのことを踏まえて順を追って見ていきましょう。

 

1.投資戦略

まず何と言っても重要なのはそのファンドの投資戦略です。きちんと納得出来る理論・戦略をもって、それに則った運用を行なっているのかを確認しましょう。

運用の手法には様々なものがあり、どれが“ベスト”かは人によるところもありますが、少なくとも古くから科学(金融工学)によって積み上げられてきた理論は間違いが少ないものの一つです。きちんとした理論(バリュー投資など)に則って運用を行なっているファンドの方が、“独自の理論”などと詠っているようなファンドよりは信頼出来るかと思います。

 

投資戦略はファンドの“色”であり、それはファンドによって千差万別です。テクニカル分析がメインのファンドもあれば、ファンダメンタルズ分析がメインのファンドもあります。短期的にどんどん売買を繰り返すファンドもあれば、長期にしっかりと保有していくファンドもあります。

ご自身にあったファンドを、また安心して資金を預けられる“納得”できるファンドを見つけることからスタートです。

 

 

2.運用目標

戦略の次は、運用目標を確認しましょう。これは、そのファンドの投資戦略と関連するものがありますが、目標リターンが高ければ高いほどよいというものでもありません。「毎年3倍にします!」とうたうファンドがあったとしたら、正直怪しいと感じてしまいます。

(※もちろん過去に、そのような実績を出しているファンドもありますが、歴史に名を連ねるような超有名ファンドレベルなのです)

 

一般に投資の世界は、ローリスク・ローリターン〜ハイリスク・ハイリターンなのです。その中でリスクを抑えつつどれだけリターンを稼げるのか、リターンを狙いつつも、どれだけリスクを抑えられるのか。それがファンドマネジャーの“腕”になります。

まだ若く、これから20年30年と長く運用をしていく方や、元々ある程度まとまった資金のある方は年間10~20%も増やすことができれば十分かと思います。また、資金が少ないながらも短期的にある程度まとまった資産を築きたい場合は、年間で40~50%を狙わないといけないかもしれません。

ご自身の資金と運用年数、そして目標とする額からきちんと逆算して、必要なリターンを計算しましょう。

 

 

3.過去の運用実績

そのファンドの戦略や運用目標から、目ぼしいファンドが見つかったら、そのファンドの過去の運用実績を確認しましょう。実際にどの程度のリターンが出ているのか、きちんと目標が達成されているのかを確認することも大切ですが、もう一つ非常に重要なのが、運用の安定感がどの程度あるかです。

下の2つのグラフを比較してみてください。

ファンド比較

 

どちらもおよそ5年で資金を約1.5倍にしていますが、片方が順調に資産を増やしているのに対し、もう一方はかなり激しく乱高下しながら結果として同じ運用成績になっています。

これは“事業として”運用を行なっているヘッジファンドとしては、非常に大きな差があると考えられ、後者のヘッジファンドはもしかするとたまたま何かのきっかけで増やせていただけかもしれません。このグラフを見てみると、来年急に資産を減らしていてもあまり不思議ではない気がします。

ファンドの運用成績を見極めるポイントの一つに「どれだけ下げていないか」というのがあります。

どんな運用を行なっているにしても、相場の影響は必ず受けるので、予期せずパフォーマンスを下げてしまうことは珍しくありません。そんな時でも、損失を最小限に抑えられるようにリスクをヘッジするのがプロのファンドマネジャーなのです。

反対に、一気に資産を増やしていたからといって過信はできません。いわゆる「当てただけ」という可能性も少なくないのです。

プロのファンドマネジャーを見極めるポイントとして、

「どれだけ当てられるか、ではなく、どれだけハズさないか」

というのがあります。

それを過去の成績から読み取っていきましょう。

 

 

4.最低出資金額・ロックアップ期間

良いと考えられるファンドが見つかったら、実際にそのファンドに投資可能なのかどうか検討しましょう。ファンドの中には、最低出資金が数千万〜数億円といったところもあります。そういったところに出資できる人は限られてくるでしょう。一方で、特に日本国内のファンドなどで、数百万単位で出資できるところもあります(それでも最低が500万円だったりしますが)。ご自身の用意できる資金とよく相談しながら投資先を検討しましょう。

 

そして、もう一つ見落としがちなのが、資金の「ロックアップ期間」です。ヘッジファンドの多くは、銀行などと違いいつでも資金の出し入れをできるわけではありません。一度資金を預け入れたら1年間、あるいは数年間引き出すことができないといったことも珍しくない世界です。

何かあったときのために、すぐに用意できる資金をコントロールすることは非常に重要です。

もし、ロックアップ期間が数ヶ月といったように短いファンドがあれば、資産の流動性を高く運用できるため、それだけでも有益な投資先と考えられます。

 

 

5.スタッフの対応・コンタクトのしやすさなど

実際にファンドに出資する際には、担当のスタッフに会ってコンタクトをとることになるかと思いますが、その担当スタッフについてもきちんと確認する必要があります。

ヘッジファンドは少数精鋭です。担当スタッフについても金融に精通している人間であるべきですが、中にはそうでない人間も紛れています。事務的な手続きしかできない人間しかスタッフに現れない場合は注意が必要です。自社の戦略やポリシーを理解していない担当に出会った場合は注意した方がいいでしょう。

 

また、そのスタッフとのコンタクトの取りやすさも重要なポイントです。通常ヘッジファンドにとって出資者は非常に大切な存在であり、重要な存在です。そのため、相談したいことや確認したいことがあればすぐに連絡がつくような関係を築いてくれることが一般的です。

にもかかわらず、出資をしたら「はいおしまい」と言わんばかりに連絡がつかなくなるような人たちにも注意が必要です。連絡先だけでなく、その人たちがどんな人たちなのか。出身や経歴がはっきりしているのか。それについても確認しておくと良いでしょう。

 

 

6.会社情報(免許・登記の場所など)

当たり前のことですが、会社の公式情報もきちんと確認する必要があります。

会社の現住所、連絡先、金融免許…

全て当たり前のことですが、世の中で詐欺を働くようなファンドはこれらの情報があいまいだったり、嘘だったりするのです。当然のことではありますが、怠らずにきちんと確認しておくことは大切なことです。

 

 

7.手数料などの報酬形態

そして最後に確認しておくことは手数料などをはじめとした報酬形態です。ただし、ここでお伝えしたいのは「手数料が何%か」などといった表面的なものではありません。

ヘッジファンドの報酬は彼らの運用の成績いかんで定められるのが投資の世界では一般的です。それはヘッジファンドが資産を「増やすこと」を達成するための組織であることを考えれば当然のことなのです。

表面的な手数料の数字に惑わされてはいけません。数字に関して大切なのは、最終的に何%の運用リターンが得られるかどうかなのです。

例えば、運用益に対して運用報酬という形の手数料が課されるとします。

・運用益年間+10%、手数料5%  →リターン +9.5%

・運用益年間+20%、手数料50% →リターン +10%

この二つを比べてみただけでも、いかに手数料の数字に意味がないかということが理解できるかと思います。表面的な数字に惑わされず、きちんと報酬の意味や、その体系のフェアさを確認しましょう。

 

 

以上の7つがヘッジファンドを見極める上で重要なポイントです。特にお伝えしたいのは、この7つのポイントのうち、先に出てきたものほど優先度・重要度が高いということです。

ともすればすぐ目が行きがちなリターンや手数料ではなく、それ以上に優先して確認するポイントがあることを理解できたかと思います。目先の数字に惑わされることなく、しっかりとそのファンドの本質を見極める力を身につけることが非常に重要です。

 

 

まとめ

ヘッジファンドを見極める上で、重要な7つのポイントをお伝えしました。特に、数字以上に大切なものがあることを知っていただけたかと思います。ただ、これらの情報はネットなどから拾ったり、周りの人からの伝聞で得るだけでは不十分です。それらの中には間違ったものや、恣意的なものが混じっている可能性があります。必ずご自身が、ファンド(の人)を直接目で見て確認することをオススメいたします。

 

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片桐 峻

投資家、ファンドマネージャー。
日本にいる時は、時間を見つけてブログの読者さんとお茶しています。
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